2013 Fiscal Year Annual Research Report
幼児と保護者を対象にした理科あそびの研究開発と実践
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25885118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Shukutoku Junior College |
Principal Investigator |
山田 修平 淑徳短期大学, その他部局等, 講師 (20550601)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 幼児向け理科実験遊び / 幼児の体験あそび / 幼児教育 |
Research Abstract |
子どもたちの理科離れが問題とされる中、幼児向け科学実験のニーズは、保護者や行政から高まりを見せている。本研究は、幼児と保護者を対象にした理科あそびの研究開発と実践であり、初年度は、幼児期の理科実験は遊びとして実施することに意味を見いだした。幼児向けの科学実験の実施の意味は、参加する子どもたちが科学的知識を獲得することではない。遊びの中に、物質との出会い、科学的現象との出会いを取り入れ、新しい世界・未知の領域に触れることで遊び体験を豊かにすることである。遊び体験を豊かにすることは、子どもたちの未知の世界への好奇心を喚起させ、ついては科学的思考、論理的思考を獲得する際の豊かな素地になると考える。 幼児期の科学遊びは学び手の構成の土台をなすエピソードを生み出す体験であり、非公式の科学体験である。科学的論理として、公式化された科学を身の回りの事象に照らし合わせ検証を行うことは幼児には難しいが、実験環境に接近した出来事において、幼児は仮説検証を行う事例が見られた。これは,幼児が自生的な理論を構成していると考えられ、公式の科学を獲得するためのエピソードを蓄えている体験である。非公式な科学体験=「遊び」そのものを豊かにすることは、科学への関与性を強め、学習期に公式の科学を効果的に学ぶことにつながると言えよう。 また、素材に出会い、素材を使っての実験という遊びの展開を尊重し、能動的に試してみたい内容を保証することで「遊び」となる。科学実験遊びも大人の思惑を押し付けない姿勢が求められる。科学実験遊びを,物質・現象の体験遊びとして位置づけ、遊びの一つとして実施する、とすると幼児期の科学実験遊びに意味を見出せよう。 以上の実施のねらいが達成される実験遊びの内容を実施検証し、有効な内容と展開の手法を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
幼児期の科学実験遊びの意味を位置づけることができた。そして実践の中で、目の前の物質と現象に楽しさを見つけ、繰り返し実験遊びを楽しむ様子から、子どもにとって遊びの素材ではなかった物を使って豊かな遊びを引き出すことが出来た。実践で子どもたちが得たものも大人の概念に至らないが、幼児期の科学実験遊びでは、幼児期に物質や現象をおもしろいと思い、興味を持って物に働きかけようとするという2つのモーメントが生まれてくると期待を持つことができた。 幼児と保護者を対象にした体験を豊かにする科学実験あそびの研究開発の点では、実践、参加者アンケート等から、幼児を対象とした科学実験遊びのニーズ、実施の有効性を掴むことができた。実践を4回、現場を変えて行い、各実験内容の検証を行うことで、有効な実験遊びの内容、実験あそびの時間、あるいは各実験をどのようにプログラムするかについて、手応えを得ている。また、ボランティアにサポートスタッフとして実践に参加いただいたことで、科学に苦手意識を持つ方が科学実験遊びを行う際におさえておきたいポイントが事前事後のミーティングで明らかになりつつある。そうした成果を精査し、今後は汎用性のあるパッケージを作成する。 一方、幼児教育に携わる保育者に向けたパッケージ化が遅れている。保育の現場で実践可能な内容を洗い出すための、保育現場の現状、環境の調査、あるいは保育者の意識などを調査し、無理なく実施できる汎用性あるパッケージの作成を急ぎ、実践、検証を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として以下の内容を推進する。 ・実施の検証。幼児期の子どもたちの活動(科学遊び)をさらに調査、開発する。科学遊びの内容や遊びの場を生み出し、豊かな体験がどのように生まれるかの精緻な観察を行う。幼児期の子どもの遊びとして意味があるか、について読み取るための新たな方法を開発しつ検証する必要がある。 ・科学実験遊びの題材研究。他の科学実験遊び題材でも幼児期の子どもが意味あるものとして楽しめるかどうかを検証する。化学,物理,生物,地学など幅広い領域からの題材開発が必要である。 ・幼児向けに科学実験遊びを実施する際の安全面や困難な面などの問題を検証し、実施の手立てを研究する。 ・科学実験遊びが家庭や幼児教育の場で普及するためのパッケージ化を行う。パッケージを実際に保育者に実践してもらうための研究会を開催し、保育者の実践検証を行う。具体的に板橋区の公立保育園での科学実験遊び実施とヒアリング。岩手県子育て広場スタッフへの科学実験遊び研修とスタッフによる実践の検証、ヒアリングを予定している。研修、実践、検証、ヒアリングを通じて、保育者への科学実験遊びの理解と保育の現場で汎用性の高い実践内容を精査する。
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Research Products
(1 results)