2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25885126
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kyoto Human Rights Research Institute |
Principal Investigator |
菅原 絵美 公益財団法人世界人権問題研究センター, その他部局等, 研究員 (80712223)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 国際法 / 国際人権法 / ビジネスと人権 / 企業の社会的責任 / グローバリゼーション |
Research Abstract |
本研究は、企業の社会的責任(CSR)および「ビジネスと人権に関する国連指導原則」が、企業に対し事業活動のなかで国際人権基準を尊重する責任を認めたことを前提とし、企業、特に日本企業に国際人権基準の実施としてどんな取組みが求められているのかを明らかにすることを目的とする。平成25年度は4項目から研究を進め、次のような成果を得た。 第1に、国際人権基準、指導原則およびCSRに関する最新動向の研究である。国連、地域、国のそれぞれレベルから文献・資料研究を進めるとともに、国連人権理事会主催の「ビジネスと人権に関するフォーラム」(12月)に参加し最新動向について整理を行った。一部の研究成果を公表した。 第2に、権利保有者の視点から企業に求められる取組みに関する研究である。世界人権問題研究センターでの報告および意見交換(6月29日)、江橋崇法政大学名誉教授をはじめとする研究協力者との総括研究会(2月15-16日)を行った。また、性的マイノリティ(NPO虹色ダイバーシティ)および障がい者(内閣府障害者制度改革担当室)の視点からの聞き取りを行い、国際人権基準の解釈をガイドラインとして公表するとともに、平成26年度の研究の基礎として「児童労働」および「紛争とビジネス」を専門とする団体との協力関係を構築した。 第3に、企業の国外事業展開先における国際人権基準の実現に関する研究として、韓国との共同研究である。メールベースでの意見交換の後、2月27日に韓国で総括ミーティングを開催した。これまでの研究成果を受けて、共通ガイドライン作成に着手することを決め、着手に当たっての方針、項目などを確認した。 第4に、研究成果の公表である。社会に広く還元するため、ウェブの開設(http://e-sugawara-lab.info/index.html)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究のなかで達成目標について変更があったのは、韓国との共同研究であり、平成25年度で共同ガイドラインの作成を完了する予定であったが、平成26年度まで延長することとした。理由は、韓国側から新たに提案されたガイドライン完成後の研究方針を受けて、双方ともに新たな研究方針に了承したうえで、共同ガイドライン作成に一部軌道修正が必要となったためである。そのほかの研究内容については、当初の研究計画書の通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に、国際人権基準、指導原則およびCSRに関する最新動向の研究について、研究計画書では、12月に国連人権理事会で開催される国連「ビジネスと人権フォーラム」への参加を予定している。昨年の経験から会議では十分な時間を設定したインタビューが困難であることから、会議日程とは別に、フォーラムの主たる参画者である国際機関、政府、企業、市民社会に対して直接インタビューを行うことへの変更を検討している。 第2の権利保有者の視点から企業に求められる取組みに関する研究では、当事者、特に移民労働者の当事者団体との関係構築および共同研究を開始するとともに、すでに共同研究を開始している市民社会組織(NPO虹色ダイバーシティ(性的マイノリティ)、NPOACE(児童労働)、NPOテラ・ルネサンス(紛争とビジネス)など)と先進企業を登壇者としたシンポジウムの開催を予定している。パネルディスカッションを通じて、中小企業の視点から示唆を得るため、グローバルに事業を展開する関西圏の中小企業に広く協力と参加を呼びかける。以上の成果を得て、2年間の総括となる研究会を2月に開催する。 第3の企業の国外事業展開先における国際人権基準の実現に関する研究であるが、当初インドへの調査を予定していた。現在進める韓国との共同研究の完成を優先し、大阪およびソウルで研究会および総括研究会を実施し、共通ガイドラインを完成させる。 第4の研究成果の発表であるが、昨年度完成したウェブサイトを通じて日本語で研究成果の公表を継続するとともに、国外への発信として英語版ウェブを開設する。
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