2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25885129
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Research Institute of Economy, Trade and Industry |
Principal Investigator |
小林 庸平 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, コンサルティングフェロー (80711811)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | データ整備 |
Research Abstract |
本研究を進めるためには、賃金、雇用量、設備投資額、研究開発投資額といった企業データと、社会保険料率データとの紐づけ(マッチング)が必要となる。平成25年度はまずデータの紐づけに取り組んだ。具体的には健康保険組合連合会が作成している「健康保険組合事業年報」の健康保険組合別データを企業名に紐づける作業を行った。具体的な作業手順は以下の通りである。 第一に、「健康保険組合事業年報」の組合名で企業名を紐づけた。ひとつの健康保険組合には複数の企業が加入している場合が少なくないが、大企業の場合は企業名と健康保険組合名が一致しているケースも多いため、この方法によって上場企業等の主要な企業をマッチングすることが可能となった。第二に、経済産業省が実施した「税・社会保険料等の企業負担に関する意識調査」を用いて、健康保険組合と企業の紐づけを行った。この意識調査では、回答企業に対して各企業が加入している健康保険組合名を回答して貰っている。その回答結果を用いて、企業名と健康保険組合名を紐づけた。第三に、各健康保険組合の公開情報を用いて紐づけた。具体的には、健康保険組合の中にはホームページにおいて加入事業所を公開しているケースがあるため、そうした情報を収集・リストアップし、紐づけを行った。 以上の作業の結果、約4,600社の企業と健康保険組合のひもづけが可能となった。このデータを用いて、今後の分析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成25年度はデータのマッチングを完了させることを予定していたが、当初の予定通り、データのマッチングをほぼ完了させる事が出来た。研究計画で記載した通り、各健康保険組合にどういった事業所が加入しているのかは明らかになっておらず、中小企業については協会けんぽ(旧 政府管掌健康保険組合)に加入しているケースも多いため、健康保険組合と企業のマッチング作業は容易ではないが、「研究実績の概要」で示した方法を併用する事によって、かなりの程度のデータ整備を完了する事が出来た。 ただし、当初の計画で予定していた分析への着手は若干遅れており、平成26年度は若干のスピードアップを行いたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、おおむね当初の研究計画通りに進展しており、平成26年度も計画に沿って研究を研究を推進したい。具体的には、以下の2点の分析およびとりまとめを行いたいと考えている。 第一が、社会保険料負担が設備投資・研究開発投資に及ぼす影響の分析である。社会保険料負担の増加は、日本のビジネス環境を悪化させている一因だと指摘されることがある。社会保険料は一種の賃金税であるため、直接的には賃金や雇用に影響を与えるものだが、設備投資や研究開発投資にも影響を与えるのであれば、日本の中長期的な潜在成長率に大きな影響を与える可能性がある。社会保険料組合データと企業データを用いて、そうした影響の定量的なインパクトの検証を行う。 第二が、社会保険料負担と企業の海外展開の関係性の分析である。社会保険料組合データと企業データを用いて、社会保険料負担が企業の国際活動にどのような影響を与えてきたのかを実証的に明らかにする。具体的には、パネルデータ分析やプロビット分析といった計量分析手法を用いて、海外直接投資の要因分析を行う。
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