2013 Fiscal Year Annual Research Report
地殻内マグマシステムにおける気相濃集元素の化学輸送モデルの構築
Project/Area Number |
25887006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
吉村 俊平 山形大学, 理学部, 助教 (20706436)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | マグマ / 気相濃集元素 |
Research Abstract |
本研究課題は,Cl2流体とケイ酸メルトの化学交換実験を行うことで気相濃集元素の分配係数,拡散速度を決定し,それをもとにマグマシステムでの流体輸送機構に制約を与えようとするものである.本年度は,この実験のための技術開発を行い,①Cl2気体の発生と収集,②Cl2の高純度化,③石英ガラスカプセルへの封入,④高温実験までの手法を一通り完成させた.そして実際に実験を開始し,結果が出つつある. ①については,NaCl水溶液の電解によりClを発生させ,外気に漏らすことなくほぼ全量回収できるようになった.ただし,陽極ではClだけでなく,陰極で生成したOHイオンが陽極へ移動することによってO2も発生してしまうため,希望量のClを得るのが難しい.これを改善するため,イオン交換膜を設置することを検討している.②については,気体精製ラインを作成し,数種類の寒剤を用いることで,純粋なClを得ることに成功した.ラインには高精度・高耐食性の隔膜真空計を設置し,マノメトリによってガス物質量を決定できるようにしてある.③については,流紋岩質ガラスを入れた石英ガラス管にClを導入し,液体窒素で冷却固化させた状態で酸素バーナーで焼き切り,封入した.④については,石英管を950℃の常圧炉へ入れ,流紋岩ガラスとCl流体の間で化学交換を起こした.その結果,NaおよびCaが拡散により気相へ移動する様子が確認された.石英管の内圧は120気圧に達したが,実験中に破裂・変形等は起こらなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,半年間で新しい装置を完成させ,ほぼすべての技術的課題をクリアし,実験を開始できるようになったことから,順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,H2Oとの混合比を制御した化学交換実験を行い,気相濃集元素の分配について系統的に調べてゆく.これらの結果をもとにマグマと気相の間の反応輸送モデルを構築し,マグマシステム内での気相濃集元素の輸送速度や時間について定量的に制約を与える.
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