2014 Fiscal Year Annual Research Report
地殻内マグマシステムにおける気相濃集元素の化学輸送モデルの構築
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25887006
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
吉村 俊平 山形大学, 理学部, 助教 (20706436)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 塩素 / 花崗岩 / 脱ガス |
Outline of Annual Research Achievements |
マグマ中に発生する塩素性流体は,極めて高い反応性を持ち,高い物質輸送能力を有することから,マグマの気相誘発型分化作用,鉱床形成,岩石の変質において重要な役割を果たしている.しかし,このような流体が,どのような時間スケールでマグマ中に形成され,組成変化するかは明らかになっていない.そこで本研究では,塩素性流体の発生(塩素脱ガス)を定量的に理解するうえで必要不可欠である,塩素のメルト中の拡散係数を実験的に決定した.650~950℃,30~120気圧の条件で花崗岩質メルトを純水塩素ガスまたは水との混合ガスの中に置き,メルト表面から塩素が拡散で溶解させた.そして,急冷サンプルをEPMAで線分析し,塩素濃度プロファイルに拡散方程式を適用させることで,拡散係数を決定した.その結果,純水塩素を用いた実験(無水)では拡散係数は10^-17~10^-15m2/s程度,水を入れた実験(推定2wt%の水がメルトに溶解)では10^-15~10^-14 m2/s程度であった.これは,NaCl溶融塩またはNaCl水溶液に花崗岩質ガラスを浸す実験で測定した塩素の拡散係数(Bai and Koster van Groos, 1994)に比べ,水有り・無しともに3桁低い結果である.この違いは,NaClを用いると,ナトリウムも同時に拡散し,元のメルト組成を改変し,シリケイトのネットワークを切断するために,拡散が速くなったためと考えられる.塩素を用いた本実験では,メルトの化学組成はほとんど変化しなかった. 本年度は以上に加え,新島向山火山の火砕性黒曜石・軽石・溶岩の塩素分析も行った.その結果,水が脱ガスしても塩素は脱ガスせず,濃度は一定のままであった.これは,塩素の拡散がこれまで考えられてきたより3桁低く,非常に遅いために,気泡までたどり着かずに急冷されたためと解釈される.
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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