2013 Fiscal Year Annual Research Report
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25887018
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉見 恵美子(荒畑恵美子) 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (30706411)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 超伝導渦糸系 / ホール効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、トポロジカル超伝導及び超流動のダイナミクスを記述する新たな理論的枠組みの構築、及び普遍的な物理現象としての詳細な解明にある。本研究では(1)スピン軌道相互作用のある超流動のスピン流のダイナミクス(2)トポロジカル超伝導体におけるvortexのダイナミクスに対して、計算の複雑さから無視されてきた効果を過不足なく記述可能な近似で取り扱い、“実験で観測可能なパラメータ”での計算を行うこと予定している。平成25年度は超伝導体におけるvortexのダイナミクスの研究のために、超伝導量子渦糸系の定常状態について詳細に調べた。一般的に超伝導量子渦糸系の定常状態は準古典的に取り扱ったEilenberger方程式でよく記述されることが知られているが、超伝導量子渦のコアにおける束縛状態のスペクトルが実験と合わないなど、様々な問題点も指摘されている。また、その計算の複雑さから超伝導における本質的な効果(散乱過程やホール項など)を過不足なく取り入れることが難しく、理論的解明は進んでいなかった。平成25年度はこのEilenberger方程式を散乱過程やホール項などを取り入れた場合について拡張し、得られた方程式を数値的に解くためのプログラムの開発を行った。その結果、超伝導量子渦糸系の定常状態について、 (1)拡張Eilenberger方程式では非対称な局所状態密度が確認され、渦芯でのメインピークのシフトが見られ、実験と定性的に一致すること (2)二次元s波超伝導のオーム伝導度とホール伝導度の不純物濃度依存性はKopninらの三次元の結果と定性的に一致すること (3)超伝導体における磁場の侵入長が長くなると、オーム伝導度とホール伝導度が小さくなること を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、トポロジカル超伝導及び超流動のダイナミクスを記述する新たな理論的枠組みの構築、及び普遍的な物理現象としての詳細な解明にある。平成25年度は超伝導のvortexのダイナミクスに対して、計算の複雑さから無視されてきた効果を過不足なく記述可能な近似で取り扱い、“実験で観測可能なパラメータ”での計算を行うことを予定していたが、平成25年度はEilenberger方程式を散乱過程やホール項などを取り入れた場合について拡張し、得られた方程式を数値的に解くためのプログラムの開発を行った。このプログラムの開発は順調に進んでおり、得られた結果も妥当なものである。また、現象論的にトポロジカル超伝導体における定常状態に関する海外の理論グループとの共同研究も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、トポロジカル超伝導及び超流動のダイナミクスを記述する新たな理論的枠組みの構築、及び普遍的な物理現象としての詳細な解明にある。平成25年度は超伝導の量子渦の定常状態についてEilenberger方程式散乱過程やホール項などを取り入れた場合について拡張し、得られた方程式を数値的に解くためのプログラムの開発を行った。これをvortexのダイナミクスの計算に応用してトポロジカル超伝導における量子渦のダイナミクスについて研究する。特に、一定の速度で運動している状況を考え、この系におけるダイナミクスを明らかにする。また、スピン軌道相互作用のあるBose凝縮気体のスピン流のダイナミクスについて研究し、スピン軌道相互作用のある超流動とvortexのダイナミクスに関する比較を行うことで、超流動・超伝導に共通した物理的概念を明らかにする。
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Research Products
(2 results)