2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25887019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
糟谷 久矢 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80712611)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 可解多様体 / 変形理論 / deldelbar-Lemma |
Research Abstract |
今年度は複素可解多様体の変形による、コホモロジー的な変動について研究を行った。申請者のこれまでの研究によって、複素多様体のDolbeault,Bott-Chernコホモロジーを計算することが出来る。これらの計算法を可解多様体上の変形された複素構造に対しても適応できるような手法をKodaira-Spencerの変形理論を用いて構築した。さらにこの変形された複素構造でのコホモロジー計算法を用いて、以下の結果を得た。 1. 自明な正則な接バンドルを持つ複素可解多様体は、複素可解多様体の中でも特別なクラスであり、このような複素構造が変形によって安定かどうかは重要な問題である。私は今回の研究によって、複素トーラス以外の全ての自明な正則な接バンドルを持つ複素可解多様体は非自明な則な接バンドルを持つ変形族を持つことを示した。よって複素可解多様体の正則な接バンドルな自明性は変形に関する安定性は強くないことがわかった。 2. Nakamura多様体と呼ばれる複素可解多様体の種々の変形族に対して、そのDolbeault,Bott-Chernコホモロジーを計算した。その結果 Nakamura多様体はdeldelbar-Lemmaを満たすような変形族を持つことがわかった。Nakamura多様体自身はdeldelbar-Lemmaを満たさないので、deldelbar-Lemmaは一般に変形下での閉性を持たないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
deldelbar-Lemmaの閉性は本研究計画において最大の難所であると予想していたが、一年目にしてこの問題に解答が得られたとので、本研究は予想以上の進展をしていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
DelDelbar-Lemmaの変形による安定性についての結果を局所系に値をとるような微分形式に拡張する。局所系に値をとる場合は、微分左様素の分解に適合するような微分形式の空間のよい2重次数が入れられないため、通常の場合よりも格段に難しくなる。このような困難性を解消するような手法を開発し、局所系に関するDelDelbar-Lemmaの変形による安定性を調べる。
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