2013 Fiscal Year Annual Research Report
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25887020
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西田 祐介 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (80704288)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | マグノン / 電子スピン共鳴 / エフィモフ効果 / パイ中間子 |
Outline of Annual Research Achievements |
低温の強磁性スピン系で実現される希薄なマグノン気体における電子スピン共鳴について、理論的な研究を行った。そのために量子クラスター展開を用いて、2体マグノン間の相互作用が散乱共鳴点を通過するときに、電子スピン共鳴スペクトルのピークのシフトが符合を変え、線幅は最大となることを示した。このような特徴的な振る舞いは普遍的であるため、マグノン間の散乱共鳴を実験的に見つけるのに使うことができる。もし将来、マグノン間の散乱共鳴が実験的に実現されれば、それは冷却原子系のフェッシュバッハ共鳴の実現と同様のインパクトを持ち、さらに、最近提案された3体マグノンのエフィモフ効果のような多種多様な強相関の物理への道を切り開くものであると考えられる。 また、アイソスピンの自由度を持つパイ中間子から成る少数系において、どのような普遍的な物理現象が現れ得るのかについても研究を行った。その結果、アイソスピン対称性が厳密に成り立つ場合においては、3体のパイ中間子から成る普遍的な束縛状態が唯一つ存在することを明らかにした。一方、アイソスピン対称性が破れている場合においては、3体のパイ中間子によるエフィモフ効果が実現され得ることも示した。このようなパイ中間子による普遍的な物理現象を実現するには、パイ中間子間の散乱長が十分に大きいことが必要であるが、そのような状況は格子QCDにおいて人工的に実現することができるだけでなく、有限密度を持つ媒質中においても実現される可能性があるを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では想定していなかった、パイ中間子によるエフィモフ効果を示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では想定していなかった、パイ中間子によるエフィモフ効果を示すことができたため、本研究は当初の計画以上に進展している。今後も計画通りに研究を進めていくとともに、研究計画で想定しなかった新たな発展の方向をも模索しながら、研究を進めていく方針である。実際にこのような方針で研究を行った結果、平成26年度には、やはり当初の研究計画では想定していなかった研究成果をも得ることができた。
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