2013 Fiscal Year Annual Research Report
銀河拡散X線放射の空間・時間的「揺らぎ」から迫る天の川銀河の高エネルギー活動性
Project/Area Number |
25887028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
内山 秀樹 静岡大学, 教育学部, 講師 (50708435)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | X線天文学 |
Research Abstract |
銀河拡散X線放射 (GDXE)の 「揺らぎ」研究の基礎となる、より大スケールの空間分布の測定・解析を以下の2つの側面から本年は主に行なった。 まず、電波や近赤外線とGDXEの強度の相関を銀河面で系統的を調べた。これにより、電波観測に基づく星間中性水素原子柱密度と、GDXEの中性鉄輝線の表面輝度に、銀河面全体に渡って正の相関があることを明らかにした。これはGDXEの中性鉄輝線の放射に、広がった星間中性ガスが関わっていることを強く示唆する。また、全天をカバーする赤外線のデータを利用して、GDXEの強度を誤差20%以下の精度で推定する方法を考案した。これらの結果を日本天文学会2013年度秋季年会にて報告した。 次に、X線CCDのデータを使った研究が、過去に十分に行われていない銀河バルジ領域のGDXEスペクトルを系統的に解析した。GDXEの鉄輝線の銀緯方向の空間分布を精度良く求めた。中性鉄と高階電離鉄輝線の空間分布(スケールハイト)が異なることを過去の研究 (内山ら 2013 PASJ 65, 19) より高い有為度で示した。これは、両輝線の起源(放射天体)が異なることを意味する。また、高階電離鉄輝線の強度比から、銀河バルジのGDXEは、銀河面や銀河中心のGDXEと異なる性質 (起源) を持つ可能性が高いことが分かった。これらの結果を国際会議 Suzaku+MAXI Conference 2014 Expanding the Frontiers of the X-ray Universe にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、GDXEの大規模なスケール (=度オーダー) での空間分布の研究が主であり、本課題で掲げたGDXEの「揺らぎ」(=分角オーダー) を調べるには至っていない。これは次の2つの理由による。(1) そもそもの目的であるGDXEの正体解明には、銀河内の領域によるスペクトルの違いが鍵になる。しかし、バルジ領域では高統計・高精度のGDXEスペクトルの研究が過去に為されていないことに気づいたため、その解析を優先して行った。(2)「揺らぎ」を調べるためには、大スケールでの空間分布の影響を十分に理解し、それを差し引くことが必要である。銀緯方向についての大スケールでの空間分布の評価は、過去の研究 (内山ら 2013 PASJ 65, 19) に基づくものでは不十分な可能性が高いため、使用データを増やして系統的に再調査した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度求めた銀緯方向の大スケールでの空間分布を考慮した上で、本課題で掲げたGDXEの空間的な「揺らぎ」の解析に取り組む。まずは銀河面上 (銀緯~20度) を「すざく」で長時間観測した領域について行い、その後、他領域にも同様の解析を適用する。
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Research Products
(2 results)