2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規大環状化合物による包接を鍵とした金属内包フラーレンの可溶化と単離法の開発
Project/Area Number |
25887029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大町 遼 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教 (60711497)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 金属内包フラーレン / 環状化合物 / 包接 |
Research Abstract |
金属内包フラーレンは炭素ケージ内に金属を内包した分子である。金属原子からフラーレン殻への電子移動に由来して特異な電子物性や光物性を示すことから、広範囲の応用・実用化の期待されている。しかし、その研究は未だ発展途上である。その原因として分離・精製の困難さや、溶解性の低さといった問題が挙げられるその原因としては分離・精製の障害が挙げられる。金属内包フラーレンの科学を発展させるためには、より優れた分離法の開発が不可欠である。そこで、精密に設計したπ共役骨格を有する環状化合物を合成し、その内部へ金属内包フラーレンを選択的に包接化させることで、前述の問題を解決できると発想した。 本年度では、それまでに見出しつつあったベンゼン環11個からなる大環状化合物である[11]シクロパラフェニレン(CPP)による金属内包フラーレンの抽出について更なる検討を行った。様々な種類の金属内包フラーレンとの結合定数を明らかにするとともに、アーク放電によって合成したフラーレン混合物の中からガドリニウム(Gd)原子を内包した金属内包フラーレンであるGd@C82の高純度化に成功した。 また、これらの結果をもとにして、剛直なパイ共役骨格とともにスペーサー部分を挿入した新たな環状化合物を設計し合成を行った。この化合物はCPPと比較して、より簡便に合成できるだけでなく、比較的多量に供給することが可能である。核磁気共鳴スペクトル、光吸収スペクトル、質量分析などの測定の結果から、ある一定のサイズを持つフラーレンを選択的に包接することができる性質をもつことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CPPによる金属内包フラーレンの高純度を達成するだけでなく、新たにフラーレンを選択的に包接することができる環状化合物類を見出しつつあり、本年度としてはおおむね順調に達成したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進に関しては、新たに見出した環状骨格をもとにして、側鎖の導入など更なる官能基の検討を行い、金属内包フラーレンの可溶化を試みるととともに実際にサイズ選択的な抽出を目指す。特に抽出に関してはCPPの場合には不可能であった、金属内包フラーレンからの取り外しについて検討を行う予定である。実際に金属内包フラーレンを様々な応用をする上で、包接後の取り外しは極めて重要であるだけでなく、繰り返し再利用による抽出も可能となると考えられる。
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Research Products
(3 results)