2013 Fiscal Year Annual Research Report
オープンブック分解による3次元多様体のトポロジー・接触幾何・基本群の研究
Project/Area Number |
25887030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 哲也 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (00710790)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 接触幾何 / 3次元トポロジー / オープンブック分解 |
Research Abstract |
3次元多様体のオープンブック分解と接触構造との関連について研究を進めた。まず、研究の上で最も重要な手法であるオープンブック葉層構造の理論の整備について、オープンブック内の閉組みひもに関するExchange moveを定式化した。これは、オープンブック葉層構造の最も単純な場合であるBraid葉層構造におけるexchange moveの一般化であり、オープンブック葉層構造の改変・単純化において、重要な役割を果たすことが期待される。実際にexchange moveの応用として、オープンブック内の分離・融合閉組みひもがexchange moveにより標準的な分離・融合閉組みひもとできることを示した。 また、exchange moveなどのオープンブック葉層構造の改変操作を応用することで、懸案であった接触構造のtight性について、より位相幾何的な方法で示す手段を得た。特に、オープンブック葉層構造を用いることで、overtwisted discはオープンブック内において位相的に良い位置におけることを示した。これは、接触構造と位相幾何とをより直接的に結びつける結果である。 また、オープンブック内の閉組みひもについての自己絡み数の公式を求め、自己絡み数の計算において写像類群のJohnson準同型と呼ばれる重要な対象が現れることを発見した。特に、自己絡み数の公式を用いることで自己絡み数がオープンブック構造を改変したときにどのように変化するかを具体的に書き表すことができ、自己絡み数についていくつかの興味深い振る舞いを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
3次元接触幾何において、その接触構造がTightか否かを決定することは基本的な問題であるが、これまでに知られている手法のほとんどがゲージ理論などの超越的な手法に基づくものであった。特に、関連している葉層構造などと比べ、tight接触構造がその多様体の構造をどのように反映しているかは未知の部分が多い。 そのため、研究の重要な目標であったより位相幾何的な手法でのTight性の判定に成功したことは、研究目的と照らし合わせても大きな進展である。特に、接触幾何の位相幾何的な視点からの理解に役立つことが期待され、今後の発展・研究の重要なステップになるものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
一つの方向として、Tight性の議論をより精密化していくことが上げられる。特に、元の3次元多様体になんらかの位相幾何的制約などが与えられた際に、その内部でのovertwisted discにどのような制限が加わるかを調べていく。これにより、位相幾何と接触幾何のより興味深い関連が見つかることを期待している。また、これまではオープンブック分解を固定して考えていたが、オープンブック分解そのものをより単純な、よいものに変形していく手法についても考えていくことで、接触構造をより扱いやすく単純な表示に変形していく問題についても考察していく。
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