2013 Fiscal Year Annual Research Report
パルサーの放射機構の研究およびCTA計画大口径望遠鏡のための焦点面検出器の開発
Project/Area Number |
25887032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齋藤 隆之 京都大学, 白眉センター, 助教 (60713419)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 (ドイツ、スペイン、等 / CrabパルサーからのVHEブリッジ放射の発見 |
Research Abstract |
Crabパルサーのガンマ線スペクトラムが、標準モデルからずれることが2011年までに判明し、新たな放射モデルがいくつか提唱された。それらを検証していくことが本研究の目的であった。 今年度は、MAGICによるCrabパルサーの追加観測および4年におよぶアーカイブデータの解析を行い、二つのパルスピークの間をつなぐようなブリッジ放射があることを発見した。それにより、たとえば磁気圏カスケードモデル(Aleksic et al, ApJ 742, 43, 2011)ではトロイダル方向の磁場が必要になることがわかり、パルサー風散乱モデル (Aharonian et al., Nature 482, 507, 2012)ではパルサー風に特殊なプラズマ密度分布を仮定しない限り難しいことが判明した。Current sheet モデル(Arka & Dubus 2013, A&A 550, 2013)やCyclotron instability モデル(Chkheidze et al., ApJ 773, 2013)では説明ができないことが分かった。 提案書にあるMAGIC望遠鏡のトリガシステムの改良は予定通りすすまず、改良後の望遠鏡でGemingaパルサーを観測するまでには至らなかった。一方低エネルギー事象の解析手法の開発は進展し、25GeVでイベント再構成の成功率を2倍にまですることができた。 CTA大口径望遠鏡の焦点面検出器の開発として、あらたな光検出器、SiPMの開発を開始した。検出器の基本性能を測定している段階だが、今後は大面積光検出装置を構築すべく、ライトガイド、アナログ信号加算回路、および信号整形回路の開発を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Crabパルサーからのブリッジ放射の発見は、パルサーの超高エネルギーガンマ線放射機構を解明する上で重要な発見であったと思う。低エネルギー事象の解析手法の改善も順調に進んだ。一方で、MAGIC望遠鏡のトリガシステムの改善が予定通り進まず、新システムでのパルサー観測ができなかったことは、悔やまれる。SiPMを用いた検出装置の開発セットアップが構築できたのは評価でき、次年度以降開発が進展する事が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
MAGIC望遠鏡のトリガシステムの改良は、計画通りには進まなかったとはいえ、ほぼ完成している。システムの較正にまずは力をいれ、6月からはDragonfly パルサーの観測を行う。開発された新たな解析手法とともに、二例目のVHEガンマ線パルサーの検出を目指す。スペクトラムの形から、放射メカニズムの理解が大きく進むと期待される。また、CTA大口径望遠鏡用光検出器モジュールの性能評価システムの構築も始める。平行して、新型検出器SiPMのスタディも進める。
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Research Products
(5 results)