2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25887041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小菅 佑輔 九州大学, 高等研究院, 助教 (00700296)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | プラズマ乱流 / 輸送 / 位相空間 / 流れ |
Research Abstract |
本研究では、捕捉イオン乱流において、共鳴が強く相関した捕捉イオンが生じる場合の輸送の理解を目標としている。本年度は、i.) 共鳴によって相関した捕捉イオンが環状プラズマのトロイダル運動量の輸送に寄与すること、ii.)共鳴によって相関した捕捉イオンが引き起こす輸送がシア流れによって抑制されること、を明らかにした。 i.)トロイダル運動量輸送への応用:共鳴が強い捕捉イオン乱流の輸送理論を、トロイダル運動量輸送の問題に応用した。その結果、ポロイダル流が加速する場合に、捕捉イオンがつくる位相空間構造を介してトロイダル流が加速される機構を見出した。また、ここで示されたトロイダル流の加速は、環状プラズマにおける残留応力成分として理解されることが明らかとなった。ここで示された変換過程は、小型から中型の装置の、安全係数が高い領域において強く表れることを示した。 ii.)シア流れによる抑制効果の運動論的乱流への拡張:トロイダルプラズマにおける輸送が、シア流れによって抑制される機構が理論および実験的に示されている。そのような知見は流体モデルに基づいて得られていたが、本研究では共鳴が強くでる運動論的な乱流へとシア流れによる抑制モデルを拡張した。その結果、流体的な時間スケールに比して歳差運動が決める時間スケールが無視できない場合には速度空間自由度の補正が表れることを示した。その結果、相関長が短くなるという従来の抑制機構に加え、共鳴を保った粒子の数が減少することによる抑制機構が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、位相空間乱流が関与する輸送理論のトロイダル運動量輸送の問題への応用についての理論解析が進み、実験的観測が可能となるパラメータ領域を明示することができたため、研究が順調に進展していると判断する。また、新しい実験観測法を確立するための足がかりとして、シア流れによる抑制機構を、運動論的乱流に拡張することができた。これらの理由により、研究がおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、具体的な実験観測法の提示を最終目標に掲げている。本年度の研究で得られたトロイダル加速効果の実証方法の他にも、i.) 流れシアによる抑制機構に着目した実証方法の具体的提示、ii.) 流れを伴わない場合の位相空間乱流の乱流特性の評価とその実証方法の模索、を軸に研究を進める。i.)については、今年度得られた解析結果に基づき、シア流れによる抑制効果が速度空間を介して強くなるパラメータ領域を明示する。ii.)については理論解析を進め、位相空間乱流の特徴となる、小さなスケールでの強い相関や亜臨界不安定性、周波数スペクトルのブロードニングの度合いを評価し、これらの効果が顕著となるパラメータ領域を明らかにする。
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