2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25887046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
満汐 孝治 東京理科大学, 理学部, 助教 (10710840)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | ポジトロニウム負イオン / 共鳴光脱離 / 陽電子 |
Research Abstract |
本研究では,特異なクーロン3体系,ポジトロニウム負イオンの1光子吸収過程における共鳴状態を探索することを目的としている.研究初年度となる25年度では,紫外レーザー光の光学系とフラグメント検出系からなる分光装置を構築し,Ps(n=2)閾値直上に予測される形状共鳴の観測を行った.当初,迷光由来の膨大なバックグラウンドが観測され、実験は困難を極めたが,遮光を目的とした多段バッフルの設置とレーザー空間モードの入念な調整によって実験が出来る状態となった.形状共鳴の波長において実験を行い,中性フラグメントの速度制御と飛行時間測定を併用した粒子識別法を用いて,光脱離由来のポジトロニウムを観測することに成功した.また,フラグメント収量に対する波長走査の結果から,共鳴波長での収量増大が認められ,形状共鳴経由の光脱離事象を示唆する結果を得た.以上のように,ポジトロニウム負イオンの共鳴光脱離の観測を経て,レーザー分光実験の一里塚を築いた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って,本年度中にポジトロニウム負イオンの分光システムを開発し,これを用いて形状共鳴経由の光脱離過程を観測することが出来た.ビームタイムの大半を迷光処置に費やしたため,詳細な共鳴プロファイルは得られなかったが,共鳴波長でのフラグメント収量増大を示す重要な結果が得られており,今後の発展性に期待が持てる.
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Strategy for Future Research Activity |
26年度には分光システムに改良を施し,2014年6月のビームタイムで本格的な実験を遂行する.具体的には,迷光バックグラウンドの更なる抑制に向けた真空槽の改良,レーザー光源の安定化,レーザーの波長走査と連動する自動計測系の開発等を行う.形状共鳴の詳細な共鳴プロファイルを取得し,共鳴エネルギーの見積もりを進めていく.また,共鳴幅の狭いFeshbach系列の共鳴観測も試みる予定である.
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Research Products
(6 results)