2013 Fiscal Year Annual Research Report
異種秩序状態の混成によって生じるスピン輸送現象の理論的研究
Project/Area Number |
25887053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
挽野 真一 独立行政法人理化学研究所, 柚木計算物性物理研究室, 基礎科学特別研究員 (80587923)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 超伝導 / 強磁性 / 複合構造 |
Research Abstract |
1. 強磁性1/超伝導/強磁性2(F1/S/F2)接合(スピンバルブ)において、S中を流れるスピン流を理論的に調べた。スピン流を計算するために用いた方法は、準古典グリーン関数法である。強磁性体および超伝導体は、拡散伝導領域である場合を想定してUdadel方程式を解いた。その結果、F1とF2の磁化が平行および反平行の場合、スピン流はS中を流れない。しかしながら、F1とF2の磁化が同一直線状からずれた場合(non-colinear)、スピン流は、S内部を流れることが分かった。この自発的に流れるスピン流は、スピン三重項クーパー対に由来することが分かった。超伝導状態およびnon-colinearな磁化配列が保たれている限りスピン流は永久に流れ続けることも分かった。この結果は、任意の外場を印加し続けることなくスピン流を生成することができる“スピン電池”の候補となりえることが期待される。 2. 超伝導/強磁性絶縁体/超伝導(S/FI/S)接合において、交流ジョセフソン効果によって、超伝導体間の位相差のダイナミクスによって誘起されたFI中の電磁場と、FIのスピンのダイナミクスの相互作用を調べた。FIの接合部を非一様にする事によって外部磁場なしで電磁場が励起される構造を考案した。実験的な状況の分析を適切行い、ゼロ磁場下で接合の非一様性よって誘起されるFiske共鳴に対するスピン波励起の影響に関して、摂動論的な手法に基づいて解析を行った。この研究は、当該分野における新しい研究成果および今後の比較検討において有意義な情報を与えることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
スピントロニクスでは、スピン流を用いてデバイスを制御させる。しかしながら、問題点として、このスピン流を生成するためには、マイクロ波を強磁性体に照射する必要があり、更に、空洞共振器を用いる等、複雑なデバイス構造が必要である。 本研究では、これまでよりも簡単なデバイス構造でスピン流を生成する事が出来るデバイスの考案を行った。一つ目は、マイクロ波などの外場を必要としないスピン流生成のデバイスを考察を行った。二つ目として、交流ジョセフソン効果を利用して、直流電圧を印加する事によって、強磁性共鳴が生じる事を明らかにした。これは、直流電圧で、スピン流を生成出来る可能性があり、今後、更に研究を発展させる事が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
スピントロニクスにおける課題として、スピン流を如何に効率よく遠くまで伝搬させるかに加えて、スピン流を簡単に生成させる方法に関する事も重要度が増しているように思われる。そのために、スピン流を如何に効率よく遠くまで伝搬させるかに関する研究に加えて、スピン流生成の基礎理論の構築も、急務である事が最近の研究成果の調査によって明らかになった。今後は、如何に効率よく遠くまでスピン流を伝搬させる方法に加えて、スピン流を簡単に生成する方法に関する基礎理論の構築も目指して研究を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)