2013 Fiscal Year Annual Research Report
P波振動極性の統計的性質とそれを考慮した高感度地震検出手法の開発
Project/Area Number |
25887055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
内出 崇彦 独立行政法人産業技術総合研究所, 活断層・地震研究センター, 研究員 (80713049)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 固体地球物理学 / 地震学 / 振動極性 / 時系列解析 |
Research Abstract |
まず、振動極性解析を連続データに適用するためのプログラムを作成した。これを、Hi-netの地震波形連続データに適用した。岐阜県飛騨地方において、2011年東北地方太平洋沖地震の影響で地震活動が活発だった2011年3月11日から同年同月31日までの期間を対象とした。その結果、地震検出に関係する問題点が明らかとなった。地震が発生すると、直達波の後のコーダ波にも直線的な波群が検出されてしまい、その振動方向には大きなばらつきがあった。また、何らかの原因で単色ノイズが生じている場合は、地震が発生していない場合でも、信号の直線性が高く評価されてしまう問題があった。 そこで、手法の改良を検討し、実装した。コーダ波については、振幅が減少している場合の直線的信号は地震検出の際には無視することにした。また、地震以外のものと思われる雑信号で直線的なものが出る場合はその伏角が30度未満になることが多く、深さ数km以深の地震ではより高角になることから、伏角30度未満のものを地震検出の際に除外することとした。 これらの改良を踏まえて、再度解析を実施し、各種地震カタログと照らし合わせた。その結果、気象庁一元化震源カタログに掲載されている地震の44%を検出することができた。しかし、京都大学防災研究所上宝観測所による詳細なカタログと比べると22%程度しか検出できなかった。整合フィルタ解析による結果とは8%しか一致しなかった。結果を詳細に検討すると、検出が成功しやすい場合としにくい場合があるようで、これを踏まえてさらに手法を改善していく必要がある。 なお、本研究の成果は日本地震学会2013年秋季大会で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地震検出手法を実際のデータに適用するところで、直線性を出してしまう単色ノイズなど、これまで想定していなかった問題が多数生じた。このようなノイズは常時出ているわけではなく、特定の短時間のデータ解析では見つからなかった。これは長時間のデータを解析することで初めて明らかになったものである。そのため、地震検出手法の確立には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
単色ノイズやコーダ波などの問題を踏まえて、地震検出手法を改良する。具体的には、複数の周波数帯で振動極性解析を実施し、その結果を統合することで、単色ノイズの影響を除外することができると考えられる。そのような方針で手法を組み立て、実装する。複数の周波数帯の結果を統合することで、より確かな地震検出が実施できることが期待できるが、実データでそれが成功するかどうか確認する。
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