2013 Fiscal Year Annual Research Report
セメント水和物の変質機構に基づく汎用的なコンクリート劣化予測システムの開発
Project/Area Number |
25889005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮本 慎太郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60709723)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 空隙構造 / セメント水和物 / 実行拡散係数 / 変質 / イオンの固定化 |
Research Abstract |
平成25年度は,セメント硬化体の劣化の進行と空隙構造および実効拡散係数の変化の関係を明らかにし,さらには,それらの因果関係を体系化し,数理モデルを構築することを目的として,様々な試験期間を設けて電気泳動を行わない自然拡散に基づいた拡散セル試験を行った.このとき,セメント硬化体に作用させた溶液は塩酸,硫酸,塩化ナトリウム,硫酸ナトリウムであり,試験期間に関しては,1日~56日の間で複数の水準を設けた. この実験を行った結果,作用する溶液毎にセメント硬化体のプロパティの変化等に明確な差異を確認することができた.また,試験期間に複数の水準を設けることで,セメント水和物が経時的に変質していき,それに伴い内部構造が変化していく過程についても明確に確認することができた.以上の実験結果を整理することで,作用する溶液の濃度および種類が経時的に各セメント水和物の変質に及ぼす影響と,それに伴い変化していく空隙構造がセメント硬化体中のイオンの物質移動に及ぼす影響を定量化できる可能性があると期待できる.今後はさらに検討を進め,これらの差異を定量化し,数理モデルを構築する予定である. また,平成26年度に構築する予定である劣化予測モデルの検証のため,各種溶液への長期浸せき試験を実施した.この供試体は浸せき期間が1年になった時点で粉末X線や示差熱‐熱重量同時分析を用いてセメント水和物の変質状況を深さ方向に定量し,劣化予測モデルにおけるセメント硬化体の劣化予測結果との比較に用いる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,拡散セル試験を行い,各種溶液の作用によるセメント水和物の変質と,それに伴うセメント硬化体の内部構造および実効拡散係数の変化を実験的に明らかにし,これらの関係を定量化し,さらには数理モデル化することが目標であったが,本実験結果の定量化,数理モデル化までには至らなかった. しかしながら,当初よりも実験水準を増やしたことで,セメント硬化体に各種溶液(塩酸,塩化ナトリウム,硫酸,硫酸ナトリウム)が作用したときのセメント水和物の経時的な変化と,それに伴う空隙構造,実効拡散係数の変化に関するそれぞれの過程を詳細に追従することができた.以上の結果は,平成26年度に実施する本実験の定量化および数理モデル化の検討に大いに役立つと考えられる. 以上より,編成25年度の研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の推進方策は以下のとおりである. (i)平成25年度に行った拡散セル試験結果の定量化・数理モデル化を実施し,この数理モデルを現在までに地球科学計算コードPHREEQC上で構築した劣化予測手法に実装する.ここで,数理モデルはFEMソフトCOMSOLに実装し,これらを連成する予定である. (ii)カルシウムシリケート水和物に各種溶液(塩酸,塩化ナトリウム,硫酸,硫酸ナトリウム)が作用したときの変質挙動,各イオン種の吸着現象を基礎実験に基づいて定量化・数理モデル化し,(i)と同様に現在までに地球科学計算コードPHREEQC上で構築した劣化予測手法に実装する.なお,当初はカルシウムシリケート水和物の合成は発注する予定であったが,自ら合成することとし,その代わりにカルシウムシリケート水和物のCaO/SiO2比や浸せき溶液の濃度など実験水準を増やし,当初の予定と比較して,より詳細な検討を行うこととする.
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Research Products
(5 results)