2014 Fiscal Year Annual Research Report
セメント水和物の変質機構に基づく汎用的なコンクリート劣化予測システムの開発
Project/Area Number |
25889005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮本 慎太郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60709723)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 熱力学的相平衡 / 細孔構造 / エトリンガイト / ポルトランダイト / 溶脱 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンクリートに酸や硫酸塩が作用した場合,コンクリート中のセメント水和物と作用物質が反応し,その結果として,膨張や溶解などの劣化が生じる.ここで,作用物質はコンクリート中に浸透し,内部において反応が生じるため,膨張破壊や溶解が生じた場合,作用物質の浸透量および速度が変化することが考えられる.したがって,コンクリートの化学的侵食の劣化を予測する上で,経時的なコンクリートの細孔構造の変化を加味する必要がある可能性がある. 他方で,作用する物質が複数である場合,その反応は最終的には相平衡状態に達すると考えられるが,そのプロセスでは,反応の優位性や速度等が大きな影響を及ぼす可能性が考えられる.本研究では,この2点に着目して検討を実施した. まず,細孔構造と物質移動の関係について,同じ塩化物イオンの浸透に関しても,塩酸と塩化ナトリウムの作用では,その浸透速度は大きく異なることが確認できた.さらには,塩酸が作用した場合には,塩化ナトリウムが作用した場合と比較して,細孔空隙の増加量が著しかったため,細孔構造の変化が塩化物イオンの浸透速度に大きな影響を及ぼしていると考察した. 次に,セメント水和物と反応性を有する2種の物質(本研究では塩化物イオンと硫酸イオン)が共存する溶液がセメント硬化体に作用した場合,熱力学的相平衡計算を行,アルミネート系水和物はエトリンガイトとして安定する結果となったが,実験では,塩化物イオン濃度が硫酸イオン濃度と比較して極めて高い場合,エトリンガイトではなくフリーデル氏塩の生成が優先的となった.この結果については,複数の作用物質が存在する場合,その反応は平衡論のみではなく反応速度も考慮する必要があると考察した. 以上の結果を踏まえて,本研究では,コンクリートの化学的侵食モデルを構築する際には,コンクリートの細孔構造の変化や反応速度も考慮する必要があると考えられる.
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)