2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25889038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻 徹郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00708670)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 分子流体力学 / マイクロ・ナノ流体デバイス / 熱泳動 / 界面現象 / マイクロスケール可視化計測 |
Research Abstract |
流体中の微小粒子(マイクロ・ナノ粒子,生体高分子など)が流体中の温度勾配に応じて運動する現象を熱泳動と呼ぶ.外部から周囲流体に温度場を与えることで流体中の微小粒子の運動を制御できる可能性があるため,熱泳動は微粒子選別への応用のみならず,新奇な一分子計測技術の創成が期待されている.しかし,周囲流体が気体・液体を問わず熱泳動が起こることは古くから知られているにも関わらず,特に液体中の熱泳動メカニズムは未だ十分に解明されていない.そこで,液体中の熱泳動の理解と工学的応用を研究の全体構想とする.当該研究ではその中でも,熱泳動が温度勾配によって誘起される微粒子周りの分子スケール流れに起因するという立場から,「分子スケールの流体力学による熱泳動の理論的究明」と,「熱泳動を利用した微粒子のマイクロ・ナノ流動制御を目指す実験的研究」に取り組む.平成25年度は温度勾配をもつ流体中に置かれた単一粒子の熱泳動現象に対して理論的考察および実験的アプローチを試み,以下のことに取り組んだ.1.理論的アプローチ:単一粒子と微小粒子間の相互作用のモデル化により単一粒子の速度分布関数が従う運動論的方程式を導出し,その摂動解析をおこなった.結果として,単一粒子の速度分布関数および温度勾配方向の速度の期待値を求めた.並行して,単一粒子と流体分子の振舞いを分子動力学法により計算するプログラムを作成した. 2.実験的アプローチ:熱泳動を観察するためのデバイスを作製した.ポリスチレン粒子の分散液に0.1K/μm程度の強い温度勾配を与え,粒子が熱泳動することを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り理論・計算・実験の各方面から研究に着手し,プログラムや実験デバイスの作製に取り組んだ.まだ,具体的な成果には繋がっておらず部分的な成果に過ぎないが,次年度に向けた準備は整っている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度前半は,平成25年度に作製したデバイスと計算プログラムを用いて成果に繋げることに注力する.成果発表として,既に国際学会発表が一件決定している.また,平成26年度の後半には,論文執筆と国際学会発表を積極的に行っていく予定である.
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