2013 Fiscal Year Annual Research Report
流域地質が山地渓流の河道・ハビタット特性に与える影響
Project/Area Number |
25889042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 辰郎 九州大学, 持続可能な社会のための決断科学センター, 助教 (20711849)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 渓流 / 山地河川 / 流域地質 / ハビタット / ステップ・プール |
Research Abstract |
本年度は研究対象河川の選定と山地渓流河川の河道特性,ハビタット特性に関する現地調査を行った。 本研究は,山地渓流の河道特性やハビタット特性が地質の影響でどのように変化するかを定量的に明らかにすることを目的とする。地質の影響を抽出するためには,地質以外の条件(流域面積,気候,植生,人為的インパクトの有無や程度など)を出来る限り揃えた河川での調査が必要であり,本年度は多様な地質を有する熊本県・菊池川流域に存在する典型的な3地質(花崗岩,泥質片岩,溶結凝灰岩)について調査対象河川をそれぞれ3河川ずつ合計9河川抽出した。抽出した9河川において,山地渓流域の河道特性・ハビタット特性に関する現地調査を行った。調査により,各地質の河川におけるステップ・プール構造の特徴(ステップ高,プール深など),河床構成材料の特徴(粒度分布,代表粒径,D84粒径,扁平度など),ハビタットの分布傾向が定量的に明らかとなった。流域地質によって河床材料の粒径分布や最大粒径,礫の形状が大きく異なり,それが渓流の河床形態やハビタット分布に影響を及ぼしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は研究対象河川の選定と現地調査である。予想以上に菊池川流域の山地渓流では人為的改変が進んでおり,調査対象河川の選定に時間がかかったものの,選定した9河川の現地調査をほぼ完了し,おおむね本年度の研究計画を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は現地調査と水理模型実験を行う。 これまでの調査により,各地質の河川におけるステップ・プール構造の特徴,河床構成材料の特徴,ハビタットの分布傾向といったリーチ~ハビタットスケールの河道 ・ハビタット特性が明らかとなった。流域地質との関係をより詳細に明らかにするためにはマクロなスケールの特性(蛇行度,谷の広がりや深さ)が必要であり,本年度は調査対象の地質を増やさず,既調査河川におい てより詳細にデータ収集することとする。また,流域地質によって河床材料の粒径分布や最大粒径,礫の形状等が異なり,それが渓流の河床形態やハビタット分布に影響を及ぼしている傾向が確認された。その水理メカニズムを調べるための水理模型実験を行う。
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