2013 Fiscal Year Annual Research Report
モダニズム建築の再生における インターベンションとオーセンティシティの研究
Project/Area Number |
25889044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鯵坂 徹 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (80709527)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 歴史意匠 / 保存再生 / モダニズム建築 / リビングヘリテージ / インターベンション / オーセンティシティ / DOCOMOMO |
Research Abstract |
既往の研究・著作及びDOCOMOMOでの改修報告に関する報告書等と研究代表者が再生を担当した国際文化会館/ライジングサン社宅の再生事例をヴェニス憲章やマドリッド文章に照らして再整理する。これらに並行して、国内事例及び海外事例の一部について、下記の調査を実施した。 1.文献等の調査:既往の研究と海外の再生に関する報告書、特にDOCOMOMO関連報告書を確認。(「Alvar Aalto Library in Vyborg/SAVING A MODERN MASTERPIECE(2009)」「The Tugendhat House:Between Craftmanship and Technological Innovation./Modern and Sustainable/docomomo Journal 44(2011)」) 2.再生事例の再整理:研究代表が実施した国際文化会館/ライジングサン社宅の再生について再整理を実施した。 3.モダンムーブメントの再生事例及び再生に際してのオーセンティシティ等の調査 3-1.国内外の再生事例の現地調査や基本資料等の調査を実施した。(日土小学校[DOCOMOMO Japan 2/重要文化財] 日比谷図書館[DOCOMOMO Japan 150] 東京大学総合研究博物館小石川文館[重要文化財] その他再生事例) 3-2.鎌倉の神奈川県立近代美術館の設計担当者及び関係者を交えた意見交換会を実施し、神奈川県立近代美術館[DOCOMOMO Japan 20]の世界的な価値とそのインティグリティについて確認。また、海外渡航中にコルビュジエのスイス学生会館、アアルトのカレ邸等の状況を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度坂倉準三の調査を実施する機会に恵まれ、コルビュジエの弟子である坂倉準三の作品が国内で多数解体の危機にあることを知り、当初の計画以外に、国内のモダニズム建築(モダンムーブメント)の価値や位置づけについて調査研究を実施した。日本のモダンムーブメントのインティグリティとオーセンティシティの考え方を設計担当者や関係者から直接聞くことにより、設計の基本方針を再生計画に反映させることの重要性を確認できた。また、日本では依然とスクラップアンドビルドが続いており、モダニズム建築のインティグリティとオーセンティシティを理解した改修が行われないため、一括して老朽化という理由で価値を生かせないまま解体されていく状況を打開する必要がある。昨年度は大学着任一年目ということもあり、国内外の調査が予定より進まなかったが、今年度は大学の環境やスケジュールを理解した上で研究活動を堅実に実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、モダニズム建築のインティグリティとオーセンティシティを理解した改修事例について、当初予定していた項目《開口部仕様[素材/断面形状,見付見込寸法等のディテール]、外壁仕上げ[塗装等の仕様/断熱性能/笠木廻りの形状納まり/巾木の仕様形状]、庇形状及び仕様・屋根及び屋上の改修内容、防水仕様/仕上げ/防水立上がりの仕様形状、インテリア(内装・家具)の改修内容(可能な範囲とする)、改修時の法的な手続き状況、利用状況[機能]の変更状況、再生工事の設計工事監理費/工事費/移転費等の概算)》について情報を得られるよう進めるため、再生調査シートを作成し確実に実施する。
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