2013 Fiscal Year Annual Research Report
微細構造制御による燃料電池触媒層内の物質輸送抵抗因子解明
Project/Area Number |
25889053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
鈴木 崇弘 東京理科大学, 理工学部, 助教 (90711630)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 触媒層 / 多孔質構造形成 / カーボンブラック / 多層カーボンナノチューブ |
Research Abstract |
固体高分子形燃料電池触媒層の多孔質構造制御に向けて,従来基材のカーボンブラックに加えて多層カーボンナノチューブ(MWCNT)を混合した場合に多孔質構造に及ぼす影響の評価を行った.MWCNTにはカーボンブラックの一次粒子直径と同程度の直径を有するものとわずかに大きな直径を有するものの二種類を用意し,触媒層中のカーボン重量比が50%となるようにそれぞれのMWCNTを混合した触媒層を形成した.MWCNTを均一に分散させるために,材料と溶媒を混ぜた触媒インクの分散方法を検討し,遠心撹拌と超音波分散を併用することにより,均質なMWCNT混合触媒層を形成することが可能となった.比較試料としてカーボンブラックのみを基材とする触媒層を同様に作製し,三種類の触媒層について構造解析を実施した. 走査型電子顕微鏡観察と画像解析に基づく構造評価より,MWCNTを混合することにより,従来型の触媒層に比べてマイクロクラックの数が減少した.また,厚さ方向の空隙率は従来型に比べて減少することが示された.さらに,触媒層表面及びクロスセクションポリッシャ法を用いて形成した触媒層断面の高分解能電子顕微鏡観察より,特に直径の太いMWCNTを混合した触媒層において異方構造が確認された.触媒層の面方向には直径100nm以上で深い細孔が形成されている一方,断面方向ではこうした特徴的な細孔は見られなかった.以上のことから,MWCNT混合が触媒層細孔構造に対して有意に寄与しており,触媒担持量や材料組成を変えることなく,細孔構造のみを変えた触媒層を形成することが可能となった. これらの細孔構造が発電性能に及ぼす影響を評価するため,運転時の湿度環境を制御して発電試験を行うための実験系を構築した.今後,作製した触媒層の性能試験から,細孔構造と性能の関係を明らかにしていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多層カーボンナノチューブを混合して触媒層を形成するプロセスを確立し,形成される触媒層構造への影響を明らかにした.また,形成された多孔質構造と性能の関係を明らかにするための試験環境が整い計測も進行しており,おおむね予定通りに進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
形成した混合触媒層を用い,供給ガスの湿度を変えて発電性能試験を行うことにより,触媒層内の生成水凝縮と反応ガス輸送の観点から構造と性能の関係を明らかにしていく.また,材料配合割合及び形成プロセスの観点から多孔質構造の制御指針を確立していく.
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Research Products
(1 results)