2013 Fiscal Year Annual Research Report
アプタマー技術を駆使したアルツハイマー病血液診断マーカーの探索
Project/Area Number |
25889072
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
塚越 かおり 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (20708474)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / 早期診断 / トランスレーショナルリサーチ / アプタマー |
Research Abstract |
アミロイドβ(Aβ)の異常蓄積はアルツハイマー病(AD)の特徴的な初期病理である。本研究ではAD早期診断を指向した、Aβ蓄積に相関する血液バイオマーカーの獲得を目的としている。そこで本年度は、当研究室で新規に作製された、患者に近いAβ病理を呈するADモデルマウスより採取した血漿を材料に、マーカー候補蛋白質の探索を行なった。24ヶ月齢の野生型マウス・ADモデルマウスから血漿を採取し、アルブミンとIgGを除去した後、2D-DIGE解析に供した。2D-DIGE解析では、試料中の蛋白質が等電点・分子量によって展開され、ゲル中にスポットとして観察される。この解析により野生型マウス血漿蛋白質とADモデルマウス血漿蛋白質とを比較すると、13種類の蛋白質スポットの強度に増減が観察された。しかし、得られたスポットのいくつかは、同一分子量でありながら等電点が異なるものであったことから、そのようなスポットに含まれる蛋白質の種類は同一であることが予想された。そこで実験計画を変更し、先にスポットに含まれる蛋白質をMS解析により同定した。予想通りいくつかのスポットは同一の蛋白質であった。さらに同定した蛋白質のうち、抗体が存在するものは抗体を購入し、ウエスタンブロッティング法によるバリデーションまで進めた。その結果、ADモデルマウス血漿中において有意に増加するマーカー候補蛋白質を見出すことができた。現在、種々の月齢のADモデルマウスから血漿と脳試料を回収している。今後はマーカー候補蛋白質のAβ病理依存的変化も含めて、評価を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画の変更があったが、次年度に予定していた実験を前倒しする内容であったため、全体を通して遅れはないと判断している。またこの計画変更により、アプタマーの作製実験が次年度へ延期しているが、本年度中にDNAライブラリの設計などの基本的な準備を完了させることができている。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
MS解析を前倒しして行なったため、次年度はマーカー候補蛋白質の情報がある状態で研究を行なうことができる。そこで候補蛋白質について優れた抗体が存在するものはアプタマーの作製を省略していくことで、研究全体のスピードアップを図る。またAβ病理依存性が確認できたものから順次ヒト試料を用いた最終評価に移る予定である。
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