2013 Fiscal Year Annual Research Report
発生早期の頚髄神経で観察される細胞分化とリンクしたアポトーシスに関する研究
Project/Area Number |
25890016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
向笠 勝貴 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (60706349)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | FoxP1 / ニワトリ胚 / 頚髄 / アポトーシス / 運動神経 |
Research Abstract |
本研究は、ニワトリ胚発生早期(4~5日胚)の頚髄で特異的に観察される運動神経のアポトーシスに着目し、このアポトーシスを制御する分子機構を明らかにすることを目的としている。今回、頚髄運動神経アポトーシスをコントロールしている因子の特定を試みた。これまでの解析により、ニワトリ胚頚髄における転写因子FoxP1の発現は、3.5~5日胚の運動神経細胞で一過的にみられることがわかっていた。頚髄運動神経のアポトーシスが観察される時期とほぼ重なっていることから、FoxP1がアポトーシスに関連していると予想し、以下の実験を行った。まず、ニワトリ胚発生初期の頚髄に、エレクトロポレーションによりBcl-2を導入し、頚髄運動神経アポトーシスを抑制したところ、通常では発現がみられなくなる時期でもFoxP1の発現が持続して観察された。頚髄の運動神経には、FoxP1-/Lhx3+のサブタイプも存在するが、アポトーシス抑制により、このサブタイプの細胞数はほとんど変化しなかった。このことから、正常発生では、FoxP1+細胞がアポトーシスに至っていると考えられる。次に、アポトーシスに対してFoxP1がどのような働きをしているかを明らかにするために、FoxP1の抑制に働くmicroRNA-9 (miR-9)を利用してFoxP1のノックダウンを行った。miR-9の過剰発現によりFoxP1をノックダウンすると、頚髄運動神経のアポトーシスは減少し、運動神経細胞の数は減少していた。このとき、Lhx3+の運動神経細胞の数は変化していなかったため、FoxP1ノックダウンにより、FoxP1+細胞に相当する細胞数が減少していたと考えられる。FoxP1はアポトーシスの進行の制御よりはむしろ、将来アポトーシスに至る細胞の分化の段階に関わっていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の解析により、細胞分化の段階におけるFoxP1の発現が、頚髄運動神経のアポトーシスに関係しているということを支持する結果が得られた。これは研究計画の一つである「頚髄内でアポトーシスに至る細胞はどのように決定されるか」という点に関して当初から期待していた結果であり、進展があったと言える。また、アポトーシス進行を制御している因子の解析に用いる阻害薬や、Hox遺伝子の働きを調べるための発現ベクターなどの準備も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
頚髄運動神経の中で、FoxP1がアポトーシスを起こす細胞の分化の段階に関与していることをさらに検証する。今回はmiR-9を利用したFoxP1の抑制を行っていたが、miR-9は別の遺伝子にも働くという報告がなされたため、より特異性の高いノックダウンや、miR-9による表現型をFoxP1導入で回復する実験などを進める。また、アポトーシス進行を制御する因子の特定に関しても、特にJNKなどが関与するリン酸化シグナルに着目して進める。平行して、Hox遺伝子とアポトーシスの関連も検証する。
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Research Products
(1 results)