2013 Fiscal Year Annual Research Report
ミナミハンドウイルカにおける行動調査ならびに集団遺伝学的解析による群れ構造の解明
Project/Area Number |
25890020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
北 夕紀 東海大学, 生物学部, 講師 (30710917)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | ミナミハンドウイルカ / 集団遺伝学 / 血縁関係 / 群れ構造 / 保全管理 |
Research Abstract |
伊豆諸島御蔵島周辺海域に生息するミナミハンドウイルカ、母子を含む42個体の糞よりDNAを抽出し、既報の多型マイクロサテライトならびにミトコンドリアDNA(mtDNA)を用いてPCR増幅を行った。得られたPCR産物は、マイクロサテライト多型においてはフラグメント解析を、mtDNAにおいてはシークエンス解析を行い、多型データを算出した。 得られた多型データを用いて親子鑑定ならびに血縁解析を進めた結果、目視観察から得られた母子関係と本研究における母子鑑定結果とに矛盾は生じなかったことから、集団遺伝学的解析は御蔵島集団において有効であると示唆された。 さらに、血縁解析より子育てに参加しないオス個体における父子関係を示唆し、更なる生態学的知見の構築が期待された。 すなわち、これまでの目視調査と併用して集団遺伝学的解析を大規模に進めていくことで、適切な保全管理が可能となるものと期待された
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、御蔵島集団全頭のDNA抽出ならびに多型解析(研究項目1)と集団遺伝学的解析を用いた親子鑑定ならびに血縁解析(研究項目2)を行うことを目的としていたが、まず、本研究手法が御蔵島集団において有効かを判断するために、母子を含む42個体について、研究項目1~2のみならず、ビデオデータから得られる行動解析との比較(研究項目3)ならびに項目2と3を併合させた群れ構造の解明(研究項目4)を実行した。その結果、研究実績概要にも述べたとおり、本研究手法が有効であると示唆された。 平成26年度は、御蔵島集団における全頭のDNAを取得し、平成25年度における試験的実験に基づいて項目1~4を遂行することから、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は御蔵島ミナミハンドウイルカ全頭におけるDNAの取得を目指す。抽出したDNAを鋳型とし、多型マーカーにおける多型解析を実施し(研究項目1)、集団遺伝学的解析を用いた親子鑑定ならびに血縁解析を行う(研究項目2)。 平成25年度における研究実績より、これまでビデオデータから得られていた行動解析結果と集団遺伝学的解析における兄弟関係とに矛盾が生じたことから、御蔵島集団全頭における親子鑑定ならびに血縁解析を進めることで、母子関係ならびに兄弟関係を明らかにすることを目的とする(研究項目1~4)。 さらには、平成25年度に子育てに参加しないオス個体における父子関係を推察したことから、平成26年度は父子鑑定も進め、御蔵島集団における群れ構造の解明に努めることを目的とする(研究項目4)。
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[Journal Article] Genetic and family structure in a group of 165 common bottlenose dolphins caught off the Japanese coast2013
Author(s)
Y. F. Kita, K. Hosomichi1, S. Suzuki1, H. Inoko1, T. Shiina, M. Watanabe, A. Tanaka, T. Horie, H. Ohizumi, S. Tanak, T. Iwasak, M. Ota, J. K. Kulski
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Journal Title
Mar. Mamm. Sci.
Volume: 29
Pages: 474-496
DOI
Peer Reviewed
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