2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25890023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
酒井 誠一郎 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (40709747)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 大脳新皮質 / ニューロン / 組織染色 |
Research Abstract |
大脳新皮質の複雑な神経回路は、単純な機能単位の集合体である可能性が考えられている。本研究課題では、皮質5層の主要な興奮性ニューロンである皮質下投射ニューロンが細胞単位でカラム状に配列した構造(マイクロカラム)が機能単位を形成していると考え、抑制性ニューロンとの関係に注目して、機能単位の構造と情報処理様式を解明することが目的である。 本年度の研究計画では、大脳新皮質5層に存在する興奮性・抑制性ニューロンの細胞配置規則を解析し、マイクロカラムと他のニューロンに規則的な神経回路が存在する可能性を検証する計画であった。そこでまず、脳透明化技術と二光子顕微鏡を用いて、蛍光ラベルされたニューロンの観察を行い、細胞の3次元座標の解析を行う方法を開発した。この方法によって、脳組織をスライスすることなく、広範囲の細胞配置を解析することが可能になり、実験効率の向上と3次元解析によってこれまで見ることができなかった皮質構造の規則性を解析することが可能になった。細胞配置の3次元解析を行った結果、興奮性ニューロンのうち皮質下投射ニューロンのみがカラム状の配置をとっていること、皮質下投射ニューロンが形成するマイクロカラム構造は皮質の広範囲に見られることが明らかとなった。これは、マイクロカラムが皮質5層の普遍的な構造単位であることを示唆する結果である。また、皮質下投射ニューロンと他のニューロンの相対位置関係の解析も進めた。 また本年度は、大脳新皮質5層ニューロンのin vivoカルシウムイメージングを行う設備の立ち上げや条件検討も行った。ウイルスベクターを用いてカルシウム感受性蛍光タンパク質を発現させることにより、皮質5層の数百個のニューロン活動を同時に計測することが可能になった。この技術を用いて次年度の研究を効率的に進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研費の交付から半年間の研究期間であったが、遺伝子組換え動物等の実験材料や設備を事前に整えてあったので、順調に実験が進んだ。また、解析手法の改良により、研究の効率も向上したことも大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度行った細胞配置の3次元解析結果ふまえて、特定細胞タイプ間の規則的な神経回路構造を明らかにするため、脳スライス標本での電気生理実験を進める。また、本年度立ち上げたin vivoカルシウムイメージングの実験系を用いて、in vivoでの機能を解析するためのイメージング実験を進める。研究はおおむね当初の予定どおり進んでいるので、次年度も当初の研究計画に沿った内容で研究を進める。
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