2013 Fiscal Year Annual Research Report
実験とシミュレーションによるNFkBシグナル伝達システムの解明
Project/Area Number |
25890025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
井上 健太郎 独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 特別研究員 (80708529)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | NFkB / システム生物学 / モデリング / シミュレーション / シグナル伝達 |
Research Abstract |
転写因子NFkBは細胞運命決定に関与する遺伝子の発現を調節し、NFkBの機能不全は炎症性疾患やがんなど、さまざまな疾患に関与していることが報告されている。NFkBシグナル制御の理解は細胞運命、疾患メカニズムのコントロールにつながる。NFkB活性のダイナミクスは核内のNFkB活性が振動すること、細胞の刺激量に対してNFkB活性のオンとオフを2値的に切り替えるスイッチライクな応答を示す特徴がある。これまでのNFkBシグナル伝達システムのモデルは振動もしくはスイッチライク応答どちらか一方のダイナミクスを示すモデルだった。本年度は既存モデルの拡張を行い、どちらのダイナミクスも再現できるモデルの構築に成功した。本モデルはCARMA1, Bcl10, Malt1, TAK1, IKKβ, NFkB, IkB, A20で構成される。数学モデルの規模は48の微分方程式と202のパラメタから成る。このモデルは2つのポジティブフィードバックとネガティブフィードバックで制御されている。ポジティブフィードバックはスイッチライク応答を制御しており(Shinohara, Science, 2014)、ネガティブフィードバックは振動を制御している(Hoffmannn, Science, 2002)。2つのポジティブフィードバックはスイッチライク応答に必須なものと、その応答のsteepnessを促進させるものという役割の違いが見られた。これらの違いを理解することは、例えばドラッグターゲットとして考えた場合、どちらのフィードバックで活性調節すべきかを検討する材料となる。システム全体としてその活性のバランスがどのように変わるかを今後、検討していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NFkBシグナル伝達系のモデリングでは、NFkB活性の振動とスイッチライク応答の両方の性質を再現できるモデルはこれまでなかったが、これらの性質を持ったモデルを構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は構築したモデルの制御メカニズムの性質を解析するとともに、オミクスデータを利用した解析、さらに詳細かつ拡張モデルを構築する。
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