2013 Fiscal Year Annual Research Report
Reelinシグナルによるゴルジ体伸長が神経系の発達に果たす役割
Project/Area Number |
25890026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
松木 亨 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 発生障害学部, 研究員 (90332329)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | ゴルジ体ダイナミクス / リーリンシグナル |
Research Abstract |
平成25年度では、まず、現所属において本研究課題を遂行するために必要な環境整備を進めてきた。その後研究計画に従い、まずWTのマウスから神経細胞を培養し、Reelin刺激を行った後、GM130, GRASP65, GRASP55, p115について免疫沈降を行った後にリン酸化の変動を確認した。しかし上記の分子のうち、GRASP65, GRASP55に関しては使用した抗体の特異性に問題があった。興味深いことに、GM130とp115のリン酸化は、30分のReelin刺激によって若干増加していた。そこで更にリン酸化の変化がReelin刺激によって誘導されたものかどうかを明らかにするために、reelin KO 神経細胞を用いて同様の試験を行った結果、GM130とp115で見られたリン酸化の変化は、Reelinシグナルの影響である可能性が非常に高いことが判った。これらのリン酸化の変化は、リン酸化セリン、スレオニン、チロシンを認識するphos-tag-biotinを用いて確認しているため、両分子のどのアミノ酸残基がReelinシグナル特異的にリン酸化を受けているのかを明らかにする事は、今後の課題である。上記の結果は、これまで報告されていなかったものであり、Reelinシグナルによるゴルジ体構造の制御機構と神経細胞の発達機構との関連性、さらに神経系の発達とその後の高次脳機能の分子機構へのゴルジ体ダイナミクスの関与を明らかにできる可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の申請研究の進捗状況が当初の計画より多少遅れているが、その主な原因として、研究遂行上必要な消耗品を前所属であるニューヨーク州立大学から輸入する際、昨年9月に生じたアメリカ政府機関の一時閉鎖の影響により実質的な研究開始時期が10月後半まで大幅に遅れたことが挙げられる。また、リーラーマウスのコロニー拡大の速度が想定していたものよりも遅くなったのも多少の遅延に影響したと考えられる。しかしながら、現在までに得られた結果は、申請課題において最も重要な根幹をなすものであり、申請者の仮説に基づく研究の方向性に問題は無いものと確信できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は申請計画に基づき、まずGM130とp115のリン酸化アミノ酸残基の特定を行う。このため、外部の研究機関あるいは会社へ依頼し、質量分析による同定を行う。質量分析結果を元に、それぞれの分子についてリン酸化を受けない変異体とリン酸化を受けている状態の変異体をアミノ酸置換によって作製し、神経細胞で発現させることによってリン酸化の持つ生理的役割を明らかにしていく。さらに、Stk25はゴルジ体たんぱく質であるGM130や細胞極性制御や神経伝達機能に関与しているPKCzetaと相互作用する事や、小胞輸送に係わるp115はGM130と相互作用する事から、各々の分子の機能と複合体形成が、リーリンシグナルが引き起こすゴルジ体ダイナミクスや樹状突起形成・伸長機構に果たしている役割を解明していく。
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