2013 Fiscal Year Annual Research Report
樹木のフラクタル構造に着目した「べき分布」と「対数正規分布」の統一的理解
Project/Area Number |
25891001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
小山 耕平 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (70709170)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 樹木 / フラクタル / ハルニレ |
Research Abstract |
当該年度において、帯広近郊の樹木の形態を測定し、森林の構造を数学的に解明するための理論を検証した。具体的には、以下の2つの測定に成功した。1.十勝地方の森林を構成する落葉樹の葉の光合成速度を評価した。2.十勝地方の森林を構成する落葉樹(ハルニレ)を伐採・採取し、個体内で枝の成長速度がどのように分布しているかを調査した。 これらの測定から、以下の問題に取り組んだ。1.帯広の森林樹木の葉の光合成速度は、本州の他の地域における樹木の光合成速度と異なっているのだろうか。2.枝の成長速度は、その枝の光合成速度の指標となる。一本の樹木の中では、枝の成長速度は同程度だろうか。もし同程度であれば、個体内のどの部分の葉を選んでも光合成速度は同程度といえるから、測定した葉の光合成速度に、そのまま樹木1本の葉の量をかけ算すれば、樹木全体の光合成速度が求まるはずである。 当該年度における成果から、十勝地方の落葉樹の光合成速度は、過去の研究で報告されている本州の落葉樹とほぼ同じ値であることが解明された。この結果から、研究代表者がこれまで本州で確立してきた森林の光合成速度の推定方法は、十勝地方の落葉樹に対しても適用できることが明らかになった。また、伐採した樹木における枝の成長速度の調査から、一本の樹木のなかでも1年間の成長速度は枝毎に大きく異なることが明らかになった。以上の成果について、学会における発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、実験材料となる植物試料の決定、探索および採取に成功し、かつ、計画されていた測定項目について順調に測定に成功した。その結果、当初の予測通りのデータを得ることが出来た。 さらに、それらに加えて枝成長速度の樹木個体内分布に関しては、当初の計画で期待した以外の新たな知見を得ることが出来た。当該年度中に期待した以上の成果が得られたため、順調に学会発表を行うことに成功した。さらに当該年度の成果を数理的に解明するために、研究代表者は所属機関外の数理物理学者と共同して解析を開始している。以上の理由から、当初の計画以上に進展していることを報告する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果をさらに拡充するために、また学術雑誌として発表するにふさわしい信頼できるデータにするために、継続して新たに別サンプルに対して測定を行い、重要な結果についての繰り返し(レプリケーション)を得る。それに加えて、これまでの成果をさらに発展させるために、新たに次の測定を行う。1.枝の成長速度だけでなく、受光量や光合成速度の樹木個体内分布について、樹木のフラクタル構造から数理的に予測し、これを確かめる。2.研究対象を樹木だけでなく草本に拡張し、それらの3次元構造やフラクタル性と光合成速度または成長速度との関係を明らかにする。実験材料は、所属機関近郊に自生しているものを用いる。 これらの結果と樹木のフラクタル構造との関連について研究代表者は所属機関内外の数理物理学者や生物統計学者らと共同して、数理モデルの作成やランクサイズプロットなどの数理的手法を用いてデータを解析する。以上の成果について、学会発表を行った上で、学術論文として査読付きの学術雑誌(国際的な英文誌)に投稿する。
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Research Products
(2 results)