2014 Fiscal Year Annual Research Report
樹木のフラクタル構造に着目した「べき分布」と「対数正規分布」の統一的理解
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25891001
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
小山 耕平 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (70709170)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | フラクタル |
Outline of Annual Research Achievements |
対数正規分布やベキ分布は、複雑な現象で広く観察されている。本研究では、樹木(北海道・十勝平野のハルニレUlmus davidiana var. japonica)における枝のサイズ分布に着目し、この2つの分布を調査し、分析した。1本の大枝に着目すると、良く知られているように、これは多数回の分枝を繰り返した構造になっており、根元側(河川の下流にあたる方向)から先端側へ向かって分枝するにつれ枝は細くなる。最初に全ての枝を分岐点において切断し、それらのサイズ(断面積)を全て計測してサイズ毎の頻度分布を調べた。枝の太さAと頻度Nの関係はベキ関数で、その指数は-1に近い値であった。言い換えると、1/b倍細い枝の数がc倍の数だけ存在する(bとcは正の定数)、という関係がどのスケールでも成立していた。この関係は、樹木の自己相似性(フラクタル性)つまり「各分岐点を拡大すると同じに見えるから、各分岐点で平均して1/b倍細い枝c本に分岐している」から自然に導かれる。次に、分枝を繰り返した結果である最末端の枝(河川の次数1(源流)に相当する)のみについて、それらを全部集めた集団のサイズ分布を見ると、ほぼ対数正規分布になっていた。この関係は、やはり同様に自己相似性から、それぞれの分岐点において枝が小さくなる縮小率の分布がスケールに依存しないことから、根元側から分岐を繰り返した結果である末端枝の太さをKolmogorovの連続破断過程と等価であると考えることによって説明できる。以上をまとめると、本研究の成果により1つのフラクタルな物体に対し、全体を構成する全てのパーツのサイズ分布はベキ分布になること、末端部分のみに着目した場合のサイズ分布は、対数正規分布になることが、世界で初めて示された。以上の成果について学会発表を行い、現在、英文誌に投稿中である。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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