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2013 Fiscal Year Annual Research Report

雄と雌の誕生に伴う配偶子融合機構進化の分子基盤解明

Research Project

Project/Area Number 25891009
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

豊岡 博子  東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (00442997)

Project Period (FY) 2013-08-30 – 2015-03-31
Keywords配偶子融合 / 有性生殖 / 進化 / 藻類 / 群体性ボルボックス目 / ゴニウム
Research Abstract

本研究課題は、単細胞モデル緑藻クラミドモナスに近縁で、同型配偶・異型配偶・卵生殖という有性生殖の各進化段階の生物を含む群体性ボルボックス目を用い、真核生物に共通する配偶子融合機構とその進化過程を解明することを目的とする。平成25年度は同型配偶ゴニウムを用い、配偶子融合因子GCS1に着目した研究を行った。GCS1は、高等動植物を含む真核生物の幅広い系統で保存されているため、真核生物に共通する配偶子融合機構解明の糸口として注目されている。このGCS1は、多くの生物で雄側の配偶子で働くことが知られているが、“どのようなメカニズムによってGCS1の働きが雄側に限定されているのか”、に焦点を当てた研究はなかった。本研究では、二つの性(プラス/マイナス)の間で配偶子形態に差異のないゴニウムを用いて、GCS1タンパク質がそれぞれの性で異なった制御を受けていることを明らかにした(Kawai-Toyooka et al. Eukaryot. Cell, in press)。ゴニウムでは両性の配偶子は、活性化するとそれぞれ前方部に突起状の構造(接合突起)をつくる。本研究の成果により、マイナス交配型(雄に相当)配偶子では、活性化前はGCS1が細胞の前方部(接合突起の原基)に局在し、活性化されると接合突起の表面に移行すること、プラス交配型(雌に相当)配偶子では、活性化前はGCS1が細胞の内部に留まり、活性化に伴って消失することが分かった。これらの制御メカニズムにより、GCS1はマイナス交配型特異的な配偶子融合因子として機能しうると考えられる。
本研究課題では、ゴニウム両交配型配偶子からの接合突起単離を計画している。現在の配偶子誘導・活性化効率では、高純度の接合突起を単離することは困難である。今後、配偶子誘導・活性化条件を改善し、接合突起単離法を検討することで、高純度の接合突起を得ることを目指す。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究課題では平成25年度、同型配偶ゴニウムにおいて配偶子融合因子GCS1の挙動を精査したことで、GCS1の性特異性の細胞生物学的基盤を解明し、これを原著論文として発表することができた。この成果は、本研究課題の計画当初はまったく予想していなかったことであり、群体性ボルボックス目を用いた配偶子融合メカニズム研究の有益さを示すことができたといえる。
一方、本研究の中心的課題の一つであるゴニウム両交配型配偶子からの接合突起単離は、現在の配偶子誘導効率および活性化効率では目的達成に十分ではなく、実験条件の試行錯誤を行っているものの、依然困難な状況にある。また、異型配偶ユードリナ等からの配偶子融合関連遺伝子の単離に関しては十分な時間を割くことができず、遅れている。

Strategy for Future Research Activity

平成26年度は、ゴニウムにおける配偶子の誘導・活性化条件をさらに改善し、接合突起単離法を検討することで、高純度の接合突起を得ることを目指す。単離接合突起が得られ次第、相対する交配型の活性化配偶子と混合し、その接合突起への接着および膜融合が起こるか否かを、既に作製済みの抗ゴニウム FUS1/GCS1抗体をそれぞれ、プラス交配型/マイナス交配型接合突起のマーカーとして使用し免疫染色を行うことで解析する(semi-in vitro接合系の開発)。さらに単離接合突起からタンパク質を抽出し、抗ゴニウム FUS1/GCS1抗体による免疫沈降実験を行い、ゴニウム全ゲノムデータベースを活用することで、両タンパク質のカウンターパート因子の同定を目指す。
同時に、異型配偶ユードリナ・プレオドリナおよび卵生殖ボルボックスにおいて、FUS1/GCS1を起点とした配偶子融合メカニズム解析を進める。特に、ユードリナ・プレオドリナに関しては、次世代シークエンサーによる全ゲノム情報を利用して両遺伝子の単離し、配偶子誘導条件を検討して、両タンパク質の配偶子における挙動を細胞生物学的に解析する。これらの解析を通して、異型配偶・卵生殖化に伴う配偶子融合メカニズムの進化過程の解明に迫る。

  • Research Products

    (5 results)

All 2014 2013 Other

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Sex-specific post-translational regulation of the gamete fusogen GCS1 in the isogamous volvocine alga Gonium pectorale.2014

    • Author(s)
      Kawai-Toyooka H. Mori T., Hamaji T., Suzuki M., Olson B.J.S.C., Uemura T., Ueda T., Nakano A., Toyoda A., Fujiyama A., and Nozaki H.
    • Journal Title

      Eukaryotic Cell

      Volume: 印刷中 Pages: 印刷中

    • DOI

      10.1128/EC.00330-13

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] The evolution of male-female sexual dimorphism predates the gender-based divergence of the mating locus gene MAT3/RB.2013

    • Author(s)
      Hiraide R., Kawai-Toyooka H., Hamaji T., Matsuzaki R., Kawafune K., Abe J., Sekimoto H., Umen J. and Nozaki H.
    • Journal Title

      Molecular Biology and Evolution

      Volume: Vol. 30 Pages: 1038-1040

    • DOI

      10.1093/molbev/mst018

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] The simplest integrated multicellular organism unveiled.2013

    • Author(s)
      Arakaki Y., Kawai-Toyooka H., Hamamura Y., Higashiyama T., Noga A., Hirono M., Olson B.J.S.C. and Nozaki H.
    • Journal Title

      PLoS ONE

      Volume: Vol. 8 Pages: -

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0081641

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 群体性ボルボックス目で探る配偶子融合の分子メカニズムとその進化

    • Author(s)
      豊岡 博子,浜地 貴志,茂木 祐子, 鈴木 雅大, 森 稔幸, 野崎 久義
    • Organizer
      日本植物学会 第77回大会
    • Place of Presentation
      北海道大学(札幌)
    • Invited
  • [Remarks] 多様性起源学研究室ホームページ

    • URL

      http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/tayousei/news.html#news140314

URL: 

Published: 2015-05-28  

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