2013 Fiscal Year Annual Research Report
分子レベル安定同位体比解析を用いた水生昆虫による微生物利用の可視化
Project/Area Number |
25891013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤松 史一 京都大学, 生態学研究センター, 研究員 (50468146)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 水生昆虫 / 微生物 / 安定同位体 |
Research Abstract |
河川生態系の主要な構成要員である水生昆虫の濾過食者は、河川を流下する粒状有機物に含まれている付着藻類由来物質を主な餌資源としている。しかし、粒状有機物に付着藻類由来物質が含まれているのにも関わらず、河川の中流域から下流域にかけて濾過食者の付着藻類利用が低下する現象が起きており、そのメカニズムは不明である。この現象は、流域からの栄養塩負荷量の増加にともなって流下有機物上に微生物が増加し、濾過食者が微生物を利用することによって微生物経由で陸上植物由来物質を取り込んでいる可能性がある。そこで本研究はこの仮説を検証するため、水生昆虫のアミノ酸及び脂肪酸の分子レベル安定同位体比解析を用い、水生昆虫による微生物利用の定量化を目的としている。今年度は、調査地の選定、野外試料採集を行い、前処理方法などの分析手法の検討を行った。採集されたヒゲナガワカワトビケラを用いて、アミノ酸は、ピバロイル/イソプロピルエステル誘導体化を行い、各アミノ酸の同定後、ガスクロマトグラフ燃焼炉付質量分析計(GC/C/IRMS)により各アミノ酸の窒素同位体比を測定した。脂肪酸は、抽出、誘導体後、各脂肪酸を同定し、GC/C/IRMSで各脂肪酸の炭素安定同位体比を測定した。試料の凍結乾燥処理と恒温乾燥処理間のアミノ酸の窒素安定同位体比及び脂肪酸の炭素安定同位体比にはそれぞれ有意差はなく、いずれの方法でも適切な安定同位体比が得られることが明らかになった。このことは、バルクの安定同位体比測定で従来多く用いられてきた恒温乾燥処理も、分子レベル安定同位体比測定に有効であることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野外調査地の選定が順調に進み、野外試料の収集が順調に進行している。また、分子レベル安定同位体比分析のための前処理や分析手法の最適化を行い、おおよそ当初計画通りに研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度に採取した試料の分析、研究成果のとりまとめ、および学会発表を行っていく。研究の集大成として論文執筆を行い、成果公開に積極的に取り組む。
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