2013 Fiscal Year Annual Research Report
IL-27により誘導されるIL-10産生自然リンパ球の同定
Project/Area Number |
25891024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
古澤 純一 東京医科大学, 医学部, ポストドクター (80570796)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | IL-27 / IL-10 / 腸管免疫 / 自然免疫 / 炎症 |
Research Abstract |
近年、自然免疫系において獲得免疫系のヘルパーT(Th)細胞サブセットに対応するサイトカイン産生パターンを示す自然リンパ球という細胞群が次々と同定されている。その一方で、免疫抑制性のサイトカインであるInterleukin(IL)-10を産生する制御性T細胞(Treg)に対応した自然リンパ球は発見されていなかった。応募者らは以前に樹状細胞やマクロファージなどから産生され、IL-10産生を誘導するサイトカインであるIL-27トランスジェニックマウス(Tg)を用いた結果、小腸および大腸粘膜固有層において、野生型マウスと比較してIL-10を約4倍高く発現する自然免疫細胞様の集団が存在することを発見した。 本研究において応募者らは、野生型あるいはIL-27 TgマウスにIL-10レポーターマウスを交配したIL-10 Venus、IL-10 Venus x IL-27 Tgマウスから小腸および大腸粘膜固有層を単離し、Venusを発現する細胞の表面マーカーを解析した。その結果、小腸・大腸共に粘膜固有層全体におけるVenusの発現が野生型に比べて3-4倍高いことが確認できた。 次にこれらのVenus陽性細胞の表面マーカーを解析したところ、これまでに報告がなされているCD4陽性T細胞と同時に、CD4以外の細胞系譜マーカーであるLineage陽性の細胞数が5-10倍上昇していることが明らかになった。さらに、Lineage要請細胞集団の中でもCD11c陽性の樹状細胞と思われる自然免疫細胞集団におけるVenusの発現が顕著に亢進していることがわかった。一方で、Venus陽性の細胞集団の中で、Lineage陰性の細胞集団については割合としては上昇傾向にあるものの、絶対数が少なかったことから、IL-27により誘導される自然免疫系のIL-10産生細胞としては樹状細胞が最有力候補であることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における重要な課題である、IL-10産生細胞が自然リンパ球なのか、あるいはミエロイド系の自然免疫細胞なのかという点について、CD11c陽性の樹状細胞であることを明らかにしたことは、今後の研究の方向性を定める上で重要であると考えられる。 また、腸炎モデルとしてデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導性の腸炎モデルやサルモネラ感染モデルも確立しており、今後の研究を円滑に遂行できることがうかがえる。さらに、in vivoでの解析に必要なIL-10レポーターマウスにIL-27 TgマウスやIL-27受容体コンポーネントであるWSX1 KOマウスを掛け合わせた、IL-10 Venus x IL-27 TgあるいはWSX1 KOマウスの作製も完了しており、検討できる段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、IL-27によって誘導されるCD11c陽性細胞の詳細な表現系および遺伝子発現解析を行う。具体的にはVenus陽性CD11c細胞をソーティングして形態学的に観察すると共に、CD11c以外の樹状細胞マーカーを用いて詳細なサブセットを同定する。さらにReal-time PCRによりIL-10誘導関連遺伝子の発現レベルを明らかにする。 さらに、IL-10産生細胞の早期動員が腸炎モデルにおいてどのように関与するのかを検討する。野生型、IL-27Tg、WSX1KOマウスにそれぞれIL-10 Venusを交配したマウスを用いて、マウスの飲料水を5%DSSにすることで誘導される腸炎において、経時的に体重変化、血便、下痢によって定義される臨床スコアを測定すると同時にVenus陽性細胞の出現をモニタリングすることで、Venus陽性細胞の出現に相関したIL-27 Tgマウスでの症状の抑制あるいはWSX1 KOマウスにおける症状の悪化が起こりうるのかを明らかにする。
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