2013 Fiscal Year Annual Research Report
欠失型mtDNAの蓄積による気分障害発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
25891032
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
澤田 知世 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (90708471)
|
Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
|
Keywords | mtDNA |
Research Abstract |
1、マウス脳からのmtDNA抽出:マウス初代神経細胞に導入するための欠失型mtDNA増幅に用いるため、変異型mPolg1 Tgマウスの脳からmtDNAの抽出を行った。 2、欠失型mtDNAの定量法確立:欠失型mtDNAを検出するためのリアルタイムPCRの系を確立した。プライマーは欠失の有無にかかわらず増幅されるD-loop領域と、野生型mtDNA でのみ増幅されるMTCo1領域の2 カ所に設定し、1、で抽出したmtDNAを用いて反応系の定量性についても確認した。また、レーザーマイクロダイセクションにより単離したマウス初代神経細胞の欠失型mtDNAを定量するための予備実験として、COX活性染色後の野生型および変異型mPolg1 Tgマウス脳切片からレーザーマイクロダイセクションにより神経細胞を単離し、リアルタイムPCRによるmtDNA定量の条件検討を行った。その結果、約100個の単離神経細胞を用いれば、高い定量性をもってmtDNAの検出が可能であることが分かった。また、COX活性を消失した神経細胞では有意に欠失型mtDNAの増加が認められたことから、反応系の特異性も確認できた。 3、ヒトiPS細胞由来神経細胞の作製に向けた基礎的検討:マウス初代神経細胞で得られた結果をヒト神経細胞で検証するため、iPS細胞の樹立を行った。iPS細胞は、OCT3/4, SOX2, KLF-4, L-Myc, LIN28, p53 shRNAを組み込んだエピソーマルベクターをエレクトロポレーションにより末梢血単核球に導入することで作製した。ミトコンドリア関連遺伝子に変異を有する双極性障害患者からのiPS細胞の作製も実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
欠失型mtDNAの定量法やレーザーマイクロダイセクションによる神経細胞の単離等、研究計画の中でも重要な実験系については確立できた。しかし、マウス初代神経細胞を用いる解析に加え、ヒトiPS細胞から誘導した神経細胞を用いる解析も並行して進めていることから、当初の計画からはやや進展が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、遺伝子導入により欠失型mtDNAが蓄積した神経細胞を作製する予定であったが、CRISPR/Casシステム等を用いたゲノム編集が容易に行えるようになってきたため、これを積極的に進めていく。また、ヒトiPS細胞からの神経分解誘導系がすみやかに確立できた場合には、マウス初代神経細胞に代えてまずこちらを優先的に解析する。いずれの場合にも、mtDNAの定量やレーザーマイクロダイセクションによる神経細胞の単離はH25年度に確立した実験系を応用して実施する。
|