2013 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレントX線回折顕微鏡法による真核細胞のナノメートル分解能空間階層構造解析
Project/Area Number |
25891033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高山 裕貴 独立行政法人理化学研究所, 放射光科学総合研究センター, 基礎科学特別研究員 (40710132)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | X線回折イメージング / 凍結水和試料 / 細胞・オルガネラ / 構造解析 / X線自由電子レーザー |
Research Abstract |
本研究では、X線自由電子レーザー(XFEL)や第三世代放射光を利用したコヒーレントX線回折顕微鏡法(CXDM)により、これまで困難だったミクロンサイズの細胞やオルガネラ「丸ごと」の内部構造を水和状態かつ高い分解能で可視化することを目指している。平成25年度は、新世代光源である為に経験の蓄積が少ないXFELの効果的利用に向けた以下の2課題の技術開発を実施し、これらの手法を単細胞真核生物やその葉緑体、バクテリア等の試料に適用し、XFEL施設SACLAにおいてXFEL-CXDM実験を実施した。 1.XFEL-CXDMでは試料粒子はXFELを1ショット照射することで破壊される。報告者は試料支持膜への生体粒子接着法を検討し、試料中の目的粒子数密度を極めて高くすることで、全XFELショット中90%以上のデータ取得率を達成した。更に、そのような試料では回折データセットの統計を基に、回折パターンを由来粒子毎に分類できる可能性を見出した。また、本手法で作製した葉緑体試料からは予備的な試料像再生の結果、共通の特徴を有する試料像を多数得ることができた。 2.より高分解能でのイメージングに向けて、生体粒子と多数の金属粒子を共にイメージングすることによる生体粒子回折シグナル増幅法を考案し、シミュレーションによる実証を行った。その結果、試料像再生にX線結晶構造解析における初期位相決定で用いられるパターソン法を導入することで、従来法に比べて高分解能かつ信頼度の高い像再生が可能なことを示した。また、課題1の手法を応用して作製したバクテリア・金属粒子散布試料のXFEL-CXDM実験も行い、シグナル増幅されたと見られる回折データを複数取得することにも成功している。現在、本データの解析を進めると共に、実験データ解析に即した像再生アルゴリズムの高度化を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請当初の計画通りの進度である。特に課題1の成果は今後の研究を円滑に進めていく上で不可欠である。また、課題2に関しても実際の実験条件に即した条件検討を十分に為すことができており、テストデータも得られたことで実験データ解析に向けたアルゴリズムの高度化に直ちに移行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
XFEL-CXDMに関しては、支持膜の大面積化や像再生アルゴリズムの高度化によるイメージングの高効率・高分解能化を推進し、XFELの特性を活かした無損傷細胞の統計学的構造解析へと進めていきたい。また平成26年度後半にはSPring-8においてCXDMによる凍結水和細胞の3次元イメージングも実施する予定である。
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Research Products
(6 results)