2013 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース系複合材料の拡充に向けた新規高分子相溶化剤の開拓
Project/Area Number |
25892017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉村 和紀 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), その他 (30711783)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | セルロース / N-ビニルピロリドン含有ポリマー / 複合材料・物性 / 相溶化剤 / ブロック共重合体 |
Research Abstract |
A. N-ビニルピロリドン (VP) 含有(コ)ポリマーを相溶化剤とした3成分系ブレンド (1) セルロースアセテート (CA) とポリ(ビニルアルコール) (PVA) との非相溶ブレンドに,共通の相溶成分であるポリ(N-ビニルピロリドン) (PVP) を添加し,その相溶化剤効果を検討した。PVAのケン化度を関数として3成分ブレンドの相溶性を評価し,3成分が均一に混合し得るブレンド組成とケン化度を見出した。さらに,添加するPVPの分子量を増加させることで,相溶性をよりいっそう改善 (部分相溶から相溶) させるとともに,3成分フィルムの力学強度を向上させることに成功した。 (2) 部分相溶なセルロースプロピオネート (CP)/ポリ(ビニルアセテート) (PVAc) ブレンドへのVP-ビニルアセテート (VAc) 共重合体の添加を検討したところ,VP-VAcランダム共重合体では十分な相溶化効果を得られないことが示唆された。 B. セルロース系ブロック共重合体 還元的アミノ化反応によるセルロース分子鎖の還元性末端の修飾を検討し,その合成条件ならびにその後のビニルポリマー重合に有効な開始サイトを絞り込んだ。 上記に関連して,CAあるいはCPと,VP-メタクリル酸エチル (EMA) ランダム共重合体との相溶性を,CEの置換度とVP-EMA共重合体の共重合組成を関数として評価し,セルロース誘導体/ビニルポリマーブレンドの相溶性に及ぼす各種成分のエステル側鎖長の効果について,体系的に整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題では,セルロース誘導体をベースとした機能性複合材料の開拓・拡充を目指し,「VP含有(コ)ポリマー」あるいは「セルロース系ブロック共重合体」を高分子相溶化剤に用いた,セルロース誘導体/ビニルポリマー非相溶ペアの物性改変に取り組んでいる。前者のVP含有(コ)ポリマー系では,3成分が均一混合し,良好な光学・力学物性を有する相溶フィルムを作製し得たことから,大目的の1つは達成できたといえる。また,後者のブロック共重合体系についても,合成条件 (攻撃試薬や反応条件など) の最適化の段階にあり,順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
「VP含有(コ)ポリマー」に関しては,相溶なCA/PVP/PVAブレンドフィルムの引張試験を行って力学物性の向上を確認するともに,CAの置換度を変化させ,より幅広い組成での相溶性改善を試みる。さらに,VP-VAcブロック共重合体を合成し,CP/PVAc部分相溶ブレンドに対する相溶化剤効果を検証する。「セルロース系ブロック共重合体」については,出発試料や攻撃試薬等の各種条件を最適化し,種々の共重合組成を有するブロック試料の作り分けを進める。試料調製が終わり次第,各種キャラクタリゼーションに移る。
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