2013 Fiscal Year Annual Research Report
白斑症治療を目的とした幹細胞からの色素細胞誘導とメラニン産生・蓄積制御機構の検討
Project/Area Number |
25893012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土山 健一郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (50711743)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | Muse細胞 / 色素細胞 / 脂肪組織由来幹細胞 |
Research Abstract |
ヒト脂肪組織由来幹細胞から単離したMuse細胞を色素細胞へと誘導する方法を検討した。一般的に生体から採取した脂肪組織より得られる幹細胞は、採取される人の年齢や採取部位にその数は左右されると考えられている。私が今回行ったヒト脂肪組織からのMuse細胞単離の研究では、若年者由来の組織のほうがより多くヒト脂肪組織由来幹細胞を樹立することができ、その結果より多くのMuse細胞を単離することができた。採取部位の違いとしては、臀部の脂肪組織からはヒト脂肪組織由来幹細胞はあまり樹立できなかった。さらに、脂肪の採取量と得られるヒト脂肪組織由来幹細胞の関係には正の相関が得られた。 こうして得たヒト脂肪組織由来Muse細胞の多能性を免疫細胞化学法で確認したところ、ヒト線維芽細胞由来Muse細胞と同じように、neurofilament、Smooth mascle、 α-fetoproteinの発現を認めた。このヒト脂肪組織由来Muse細胞を、Wnt3a、Stem cell factor、エンドセリンー3などを含む色素細胞分化誘導培地で6週間培養したところ、色素細胞に似た形態の細胞を誘導できた。また、この誘導した細胞が、色素細胞関連遺伝子であるチロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク1、DCT、gp100、MITF、KITを発現していることをPCR法、免疫細胞化学法で確認した。さらに、この細胞はチロシナーゼ活性を示すドーパ反応にも陽性であった。以上より、ヒト脂肪組織由来Muse細胞から色素産生能を持つ細胞を誘導できた考える。 今回の研究結果から、ヒト脂肪組織由来幹細胞にMuse細胞が存在することを確認し、さらにこのMuse細胞が線維芽細胞由来のMuse細胞と同等の色素細胞への分化能を持つことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト皮下脂肪組織由来のMuse細胞が、ヒト線維芽細胞由来Muse細胞と同等の機能的な色素細胞へと分化することが確認された。このことからMuse細胞から色素細胞を誘導する方法はほぼ確立できたといえる。さらに、Muse細胞由来の色素細胞は、色素細胞刺激ホルモンやその他の下垂体ホルモンで細胞内でのメラニン産生が増加することを確認した。以上のことから、今後はMuse細胞由来の色素細胞を利用して、角化細胞へのメラニン移行分配の検討や、色素細胞の生体内での遊走因子の検討、また色素細胞の皮膚内での挙動の検討をおこなうことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の検討では①Muse細胞由来色素細胞と角化細胞を共培養し、メラノソームの角化細胞への移譲を観察する。②Muse細胞由来色素細胞を混ぜた三次元培養皮膚を作成し、その三次元培養皮膚内での遊走能や局在、周囲角化細胞へのメラニンの移譲を確認していく。 それと同時にMuse細胞から色素細胞へと効率よく分化誘導するための方法を検討していく。また、上記と同じ研究を市販のヒト色素細胞でもおこない、Muse細胞由来色素細胞との違いなどを検討する。
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Research Products
(1 results)