2013 Fiscal Year Annual Research Report
ポリフェノールへの光照射により発揮される新しい感染創傷治療法の提案
Project/Area Number |
25893019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白土 翠 東北大学, 大学病院, 医員 (60708501)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | ポリフェノール / 過酸化水素光分解殺菌 / ヒドロキシルラジカル |
Research Abstract |
本研究は、ポリフェノールが有する線維芽細胞増殖促進効果およびポリフェノールへの光照射により生成が促進される過酸化水素の水素光分解を介したラジカル殺菌の効果を検証し、殺菌効果と創傷治癒効果を併せ持つ新しい技術を開発するための基礎的検討を目的として行っている。これまでに、ポリフェノールは、光酸化により過酸化水素を生成し、さらにその過酸化水素の光分解で生成したヒドロキシルラジカルが短時間で殺菌作用を発揮することを明らかにした。また、ラット全層皮膚欠損モデルを用いた過酸化水素光分解殺菌法の安全性評価試験にて、創傷治癒の促進傾向が認められたことから、過酸化水素などの活性酸素の短期暴露により肉芽組織を形成する線維芽細胞の増殖が促進される可能性が示唆されている。本年度は、ポリフェノール類のヒト歯肉線維芽細胞(HGF)に対する増殖促進作用の検証に加え、細胞保護作用の評価を中心としてin vitro試験を行った。その結果、ポリフェノール類の中でもプロアントシアニジンが高い細胞増殖促進効果を示したことから、プロアントシアンジンを用いて炎症性刺激、飢餓ストレスおよび浸透圧ストレスなどの各種stressor刺激に暴露されたHGFに対する影響を検討した。プロアントシアニジンで前処理されたHGFは、これら刺激下においても高い細胞増殖能を維持したことから、プロアントシアニジンの優れた細胞保護作用が確認された。これらの効果に過酸化水素光分解殺菌を付与することで、組織保護および修復作用を併せ持つ安全な殺菌技術へと発展させていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していたin vitro試験では、順調に結果を得ており、数種類のポリフェノールの中でもプロアントシアニジンの細胞増殖促進効果が高いことを確認した。加えて、試験を進める中で細菌感染を想定した炎症性刺激および各種ストレス刺激に対するプロアントシアニジンの細胞保護効果を示唆する興味深い成果も得られた。今後予定している細胞増殖促進および細胞保護の作用機序検証、ならびにラットを用いたin vivo試験に向けた、適切な試験設定の基盤となる知見であり、本研究は着実に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で得られた結果を踏まえ、細胞増殖促進作用および細胞保護作用の機序を検証する。さらに、ラットを用いたin vivo試験として全層皮膚欠損創モデルを用いた創傷治癒促進効果の検証ならびに局所創傷感染モデルを用いてプロアントシアニジン処理時に光照射を併用した場合の殺菌効果の検証までを行いたいと考えている。
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Research Products
(4 results)