2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25893021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
浅沼 研 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教育系補佐員 (50710125)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | がん / Akt / PI(3,4,5)P3 |
Research Abstract |
がん抑制遺伝子PTENの変異や欠損により種々のがんが発症する。申請者は、哺乳細胞におけるホスファチジルイノシトール3リン酸(PI3P)産生酵素をコードする遺伝子Pik3c3とPtenのT細胞種特異的二重欠損マウスを樹立し、Pten単独欠損マウス(以下、Pten欠損マウスとする)において発症するがんが、このPten/Pik3c3二重欠損マウス(以下、二重欠損マウスとする)においては抑制されるという知見を得た。本研究の目的は、Pten欠損に起因する発がんが、Pik3c3をも欠損することにより抑制されるメカニズムを明らかにし、新たながん治療へとつながる知見を得る事である。 昨年度、Pten欠損マウスにおいて亢進するAktのリン酸化が、二重欠損マウスにおいては抑制されていることを見出した。Aktのリン酸化が抑制されていたことから、二重欠損マウスにおいては、Pten欠損に起因するPI(3,4,5)P3の蓄積から回復している事が考えられた。しかしながら、in vivo における PIPs 定量解析を行ったところ、予想に反して二重欠損マウス胸腺細胞においても、Pten欠損マウスと同様に PI(3,4,5)P3の蓄積が認められた。今日までPten欠損によるがんは、PI(3,4,5)P3の蓄積により惹起されるAktのリン酸化亢進に帰結されてきたが、本知見によりAktのリン酸化亢進にはPI(3,4,5)P3の蓄積のみならずPik3c3も必要である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pten欠損による発がんメカニズムにPik3c3が正に関与していることが遺伝学的に示された。更に、Pik3c3欠損による発がん抑制効果は、既知のPI(3,4,5)P3-Akt経路ではない新たな発がん機序を抑制することによってもたらされる効果であることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
Pik3c3欠損が生体内PI(3,4,5)P3レベルに影響することなく、いかにAktのリン酸化を負に制御するのかを明らかにする。 Pik3c3がin vitroにおいてAktに対するリン酸化酵素活性を有するか検討する。また、recombinant proteinを用いてPik3c3とAktが結合しうるかなどの解析を行う。
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