2013 Fiscal Year Annual Research Report
カリウムチャネルKCNJ5変異によるアルドステロン産生腫瘍の発症機構の解明
Project/Area Number |
25893026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中島 康代 群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (70707017)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 原発性アルドステロン症 |
Research Abstract |
1) アルドステロン産生腺腫(APA)症例における各種変異KCNJ5の臨床パラメーターへの影響:APA症例の臨床パラメーターの情報に、新たにKCNJ5 遺伝子変異の情報を追加し、変異と年齢や性差、血液学的検査所見などに対する影響などを詳細に検討した。APA36例中27例、75%にKCNJ5遺伝子変異を認めた。変異例に性差は認めなかった。これまでの報告と同様にKCNJ5変異例は有意に若年(p<0.05)で、血漿アルドステロン値高値(p<0.05)、血清K値低値(p<0.05)、拡張期血圧高値(p<0.05)であった。APAではコルチゾール自律分泌の合併を認める症例があり、コルチゾール自律分泌の合併とKCNJ5遺伝子変異の関係を検討した。明らかなコルチゾール自律分泌の合併を認める症例が3例あり、この中2例でKCNJ5遺伝子変異を認めた。コルチゾール自律分泌の合併が疑われない症例は8例であったが、これらは全例でKCNJ5遺伝子変異を認めた。 4)変異KCNJ5副腎特異的発現トランスジェニックマウスの樹立:変異KCNJ5による腫瘍発生機構をin vivoで検証するため、変異KCNJ5(p.G151R,c.451G>C)副腎特異的発現トランスジェニックマウスの樹立を計画した。現在数ラインのF1マウスを作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)アルドステロン産生腺腫症例における各種変異KCNJ5の臨床パラメーターへの影響に関してはおおむね順調に進展しているが、術前後の変化に関しては検討が不十分である。2)変異KCNJ5によるステロイド生合成系や細胞増殖・細胞周期関連蛋白質の発現への影響に関しては、ステロイド生合成系の影響への検討は順調であるが、細胞増殖などに関しては準備段階である。3)変異KCNJ5で誘導される遺伝子群の網羅的解析に関しても現在準備段階である。4)変異KCNJ5副腎特異的発現トランスジェニックマウスの樹立に関しては、マウスの準備が順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に計画した研究計画の中で一部達成不十分であった項目を認めたが、いずれも現在進行中でありこのまま継続予定である。 平成26年度研究計画1)変異KCNJ5副腎特異的発現トランスジェニックマウスの解析 今年度中に変異KCNJ5副腎特異的トランスジェニックマウスの副腎皮質における発現をGFPの免疫組織学的検討で経時的に確認し、同時に副腎におけるアルドステロン産生腺腫が発生するか観察する予定である。腫瘍の発生が確認されれば、平成25年度の1)~3)による結果を経時的に検証する。また、胎児死亡や腫瘍化に至らなかった場合は、新たにテトラサイクリンにより導入遺伝子の発現時期を制御可能なトランスジェニックマウスを作成する。 平成26年度研究計画2)変異KCNJ5恒常的細胞株の樹立と解析ならびに応用 変異KCNJ5による腫瘍発生分子機構の詳細を最後にin vitroで検証するため、ヒト副腎皮質がん細胞株H295R細胞を用い、ネオマイシン耐性遺伝子を組み込んだ野生型、 p.G151R,c.451G>A, p.G151R,c.451G>C,およびp.L168R,c.503T>G発現ベクターをelectroporation法で遺伝子導入し、G418にて選別後各種変異KCNJ5細胞株を樹立する。これらの細胞株を用い1)で得られた結果を検証しアルドステロン過剰産生や腫瘍増殖がどのようなシグナル系を介して誘導されるかの詳細を解明する。さらに、明らかとなったシグナル伝達経路の阻害薬やスピロノラクトンによる影響を検討し、新たな分子や伝達経路を標的とした治療法開発への応用を検討する。
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Research Products
(3 results)