2013 Fiscal Year Annual Research Report
SAPK新規標的分子の中心体複製抑制機構及びPLK4の中心体移行機構の解明
Project/Area Number |
25893039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 貴紀 東京大学, 医科学研究所, 助教 (30707576)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / ストレス応答 / 中心体 / SAPK / PLK4 |
Research Abstract |
細胞内小器官である中心体は、細胞分裂期において紡錘体極として機能することにより染色体の均等分配を担うことが知られている。正常細胞では中心体数が厳密に制御されているのに対して、癌細胞ではストレス刺激によって中心体数が増加する現象が知られていたが、その分子機構は不明であった。 申請者らは、p53及びストレス応答MAPK(SAPK)が協調的に作用する事によりストレス環境下によって引き起こされる中心体数の過剰増加を抑制する事を明らかにした(Nakamura T. et al., Nat.Commun.(2013))。本研究では、SAPKが中心体複製を抑制する際に制御する標的分子の同定及びその機能解析を試みている。申請者らはこれまでに中心体複製に関わる分子がSAPKによってリン酸化されるか検証を行ったところ、SAPKの新規基質分子の候補を複数得ることに成功した。これらの分子が実際にSAPKによってリン酸化され得ることをSAPK阻害剤等で確認し、更に内在性の蛋白質レベルでもこれらの候補分子がリン酸化される事も確認した。またリン酸化サイトの特定にも成功しており、Ala変異を導入する事によりSAPKからのリン酸化が消失する事も確認している。 また本研究では、中心体複製の鍵分子であるPLK4の中心体移行メカニズムの解明も試みている。これまでにPLK4の中心体移行に関わる分子を質量分析により網羅的に同定し、中心体移行に関わることが予想される候補分子を複数得ることに成功した。またこれらの候補のうち数分子がPLK4とそれぞれ結合することも共沈実験等により確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SAPKの中心体複製を抑制する際の標的分子の探索に関しては、当初の予定通りストレス刺激依存的にSAPKによってリン酸化される分子を複数個同定する事に成功した。またSAPKによってリン酸化されるリン酸化部位を特定する事にも成功した。更に現在そのリン酸化の意義に関しても解析を行っており、一定の成果が得られている。このため、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。 PLK4の中心体移行機構に関しても、当初の予定通りPLK4の中心体移行に関わることが予想される分子を質量分析により同定する事に成功した。現在これらの候補分子とPLK4との相互作用などを検証しており、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
SAPKの中心体複製を抑制する際の標的分子の探索及びその生理的意義に関しては、これまでに得られたSAPKの新規標的分子がリン酸化される生物的意義について検証を行う。具体的には特定したリン酸化サイトを消失したAla変異体またはリン酸化を模倣したAsp/Glu変異体を作成し、これらの変異体間で細胞内局在、分子間相互作用、蛋白質安定性等に影響を及ぼすか検証を行う。 PLK4の中心体移行機構に関しては、これまでに質量分析により得られた中心体移行に関わる候補分子をsiRNAによって遺伝子欠損させ、PLK4の中心体移行が阻害されるか検証する予定である。またこれらの候補分子とPLK4が直接または間接的に結合するか共沈実験等で検証する予定である。
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Research Products
(6 results)