2013 Fiscal Year Annual Research Report
Gqシグナルによる右心蔵リモデリングと、そのcGMP調節の解明
Project/Area Number |
25893044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀧本 英樹 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20709513)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | RNAシーケンス / 右心不全 / 左心不全 / アポトーシス / 血管新生 |
Research Abstract |
平成25年度は、提出した研究計画に従いマウス心筋細胞を右心臓、左心臓からそれぞれ単離して、RNAシーケンス解析による網羅的遺伝子解析をおこなった。すなわち、コントロールマウスおよびsubpressor dose のangiotensin IIを浸透圧ポンプを用いて慢性(2週間)投与することにより、Gqストレス刺激による心臓肥大マウスを作製した。これらマウスに心エコー検査を施行することにより心機能、心肥大の程度を評価した後に心臓を摘出、ランゲンドルフ法で心筋細胞単離を行った。右心臓、左心臓からそれぞれ心筋細胞を単離し、速やかにRNAを抽出し凍結保存した。RNAクオリティを確認した後、東京大学先端科学技術研究センターゲノムサイエンスの油谷教授研究室にサンプルを送り、RNAシーケンス解析を行った。その解析結果から、Wntや notch 、CTGF といった遺伝子をはじめとして、特にアポトーシス関連遺伝子群、血管新生関連遺伝子群において、ベースライン(コントロールマウス心臓)から左右心筋細胞で有意な発現の差が認められた。これら遺伝子発現の差は単離心筋細胞、さらに心筋組織のレベルで、通常のPCR法を用いてさらに確認を行った。またGqストレス暴露の心臓において、実際にアポトーシス反応や血管新生反応が右心筋と左心筋で異なるか否かを組織学的検討したところ、これらの遺伝子発現差に矛盾しない結果が得られた。今後、ウエスタンブロット等タンパク解析により、さらに詳細な検討をすすめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス心臓より右心筋細胞と左心筋細胞を単離し十分な量のサンプルを得ることができた。 そのサンプルからクオリティーの高いRNAを抽出して、RNAシーケンスによる網羅的遺伝子解析にかけることに成功した。その結果、上述のようにアポトーシスに関連する遺伝子、血管新生に関連する遺伝子の発現が左右心筋細胞で異なるという興味深い結果を得ることができ、当初の予定どおり、今後の研究のベースとなる情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に得られた前出の結果をもとに、当初の予定どおり、これら左右の遺伝子発現プロファイルの違いが、どのように左右の心不全のフェノタイプに関与するのかについて実際のマウス疾患モデルを用いて解析する予定である。またこのプロジェクトの範囲内ではないが、今後どのようなメカニズムがこの左右遺伝子発現プロフィールの差をもたらしているのかを検討したい。
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