2013 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素転写調節因子HIFの新規ターゲット遺伝子SPAG4の腎臓での機能解析
Project/Area Number |
25893045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
正路 久美 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00439423)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 腎臓内科学 |
Research Abstract |
本研究は低酸素下で発現が上昇する遺伝子、sperm-associated antigen 4 (SPAG4)の腎臓での病態生理学的役割を解明し、新規治療法開発の基盤を構築することを目指している。 申請者はマウスやラットを用いてSPAG4の腎臓での発現を解析した。SPAG4は既知の発現部位である精巣と比較して正常腎組織では殆ど発現していなかったが、低酸素下で飼育すると低酸素誘導因子hypoxia inducible factor依存性に腎臓での発現が亢進した。また急性腎障害モデルである虚血再還流モデルラット、慢性腎障害モデルである腎動脈狭窄モデルラットを作成し、免疫組織染色やin situ hybridizationなどの手法で解析したところ、尿細管においてSPAG4の発現亢進を認めた。次に培養腎尿細管細胞であるhuman kidney-2細胞を用いて低酸素刺激に対するSPAG4の発現変化をみたところ、時間依存性にSPAG4の発現亢進を認めた。以上よりin vivoでもin vitroでも腎尿細管においてSPAG4が低酸素にて発現誘導されることが明らかとなった。 更に、申請者は、Cre/loxPシステムで(CAG-Creマウスを使用)、SPAG4遺伝子コンベンショナルノックアウトマウスを作成中である(Mouse SPAG4の第1~第5 エキソンを除去)。C57B6/Jとの戻し交配も進み、得られたホモノックアウトマウスは胎生致死でなく、現在のところ成長もC57B6/Jと変わりはなかった。ただしオスは精子形成に異常を認め、不妊であることが判明した。一方腎組織は同腹のコントロール群と比較して形態異常を認めなかった。今後はノックアウトマウスで虚血腎モデルを作成し、腎予後に差がないか確認していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今までの研究より、虚血下の腎臓でSPAG4の発現が亢進していることが確認され、急性及び慢性腎障害においてSPAG4が何らかの機能を果たしていることが示唆された。SPAG4ノックアウトマウスの作成も予定通り進んでおり、これらを使用して機能解析を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
SPAG4ノックアウトマウスを使って急性虚血再還流モデルなど虚血腎モデルを作成し、SPAG4が欠失した状態での虚血性腎障害からの回復の経過を同腹のコントロール群と比較し、腎臓でのSPAG4の機能を解析する。SPAG4が細胞質分裂に関与することから、ノックアウトマウスでは虚血再還流で障害を受けた尿細管の再生・増殖が阻害されると予想され、SPAG4関連経路の解析を進める。 一方、雄のホモノックアウトマウスが不妊であることより、ホモノックアウトマウス同士の繁殖ができず、実験に必要な数のマウスを揃えるのに、時間がかかると予想され、研究を遂行する上での問題となっている。これらについてはヘテロノックアウトマウス同士の繁殖を進めて対応せざるを得ない状況である。
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