2013 Fiscal Year Annual Research Report
リプログラミング技術を用いたヒト型慢性骨髄単球性白血病マウスモデルの作成と解析
Project/Area Number |
25893048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田岡 和城 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30529178)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 白血病 / iPS |
Research Abstract |
染色体転座(46XY, +1, der(1;7)(q10;p10))を有するCMMoL 患者からエピゾーマルベクターを用いてOCT3/4、SOX2、KLF4、L-MYC、LIN28、p53-shRNAを導入し、CMMoL患者由来のiPS細胞(CMMoL-iPS)を樹立した。CMMoL-iPS細胞をiPS-Sac法で血球へ分化誘導し、造血幹・前駆細胞のCD34陽性CD43 陽性細胞を用いて、半固形培地にてコロニー形成能を評価した。CMMoL-iPS細胞由来血球はNormal-iPS細胞由来血球と比較して、多数のサイズの大きい造血コロニーを形成した。さらに、CMMoL-iPS由来造血コロニーは多数の単芽球により構成されていた。表面マーカー解析を行った結果、CMMoL-iPS由来造血コロニーではCD34+の幹・前駆細胞、CD13+の骨髄系細胞の増加を認めた。特にCD13+細胞の中でもCD14+の単球系細胞および CD14-CD24+の未熟な顆粒球系細胞の増加を認めた。末梢血におけるCD14-CD24+細胞の増加はCMMoLに特徴的な所見であった。半固形培地を用いてcolony replating assayを行った結果、3継代目以降ほとんどコロニー形成が認められなかったが、CMMoL-iPS細胞由来血球は4継代目以降も多数の造血コロニーを産生した。さらに、サイトカインを含まない半固形培地にてコロニー形成能を評価した結果、Normal-iPS細胞由来血球はほとんどコロニー形成不可能であったが、CMMoL-iPS細胞由来血球は多数の自発的コロニー形成を認めた。これらの結果は、CMMoL-iPS細胞由来血球が元のCMMoL細胞の白血化能を反映していることを示していると考えられた。以上より、世界初のCMMoLヒト疾患モデルが作製できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
CMMoL患者と健常者からのCD34陽性細胞(元検体)、iPS細胞と分化させた造血細胞においてトランスクリプトーム・メチローム解析を行い以下の成果があった。この結果、CMMoL-iPS細胞由来血球は、表面マーカーにより選別した健常者の元検体よりも、いったんiPS細胞を経て血球に再分化させた検体がトランスクリプトーム・メチロームが類似しており、より均一かつ分化段階が揃った細胞が得られる可能性が示唆された。iPS細胞由来血球においてもCMMoLの病態が反映されていることから、健常者の元検体との比較よりもリプログラミング/再分化を行うことで得られた造血細胞を比較した方がCMMoLの病態を引き起こす候補遺伝子を絞ることに有用であると考えられた。その結果、GSEAでp53のターゲット遺伝子が全体に不活性化している傾向が見いだされ、リアルタイムPCR法で実際に発現低下を確認できた。また、CMMoL-iPS細胞由来血球においてプロモーター領域が低メチル化状態かつ遺伝子発現が高い遺伝子に着目し、SLITRK4、ADAMTS4、PLA2G4C、FAAH等を同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
難治性疾患の1つである慢性骨髄単球性白血病(CMMoL)患者由来iPSを用いて、ゲノム・エピゲノム異常、シグナル伝達異常、転写制御異常、蛋白質結合状態の変化の解析などのプロテオーム解析等を統合するfunctional genomicsの網羅的解析を行い、新たな発症機構を同定した。CMMoL-iPSを用いて、ハイスループットの化合物スクリーニングによる新規治療法開発を行う。
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