2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトLMIR3/CD300Fのリガンド同定と機能解析
Project/Area Number |
25893050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊沢 久未 東京大学, 医科学研究所, 助教 (80708313)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 免疫学 / アレルギー |
Research Abstract |
ペア型免疫受容体の特徴は、細胞外領域の構造が類似するが細胞内領域の構造の違いから正反対の機能を持つ(活性化型および抑制型)受容体が対を形成することである。 Leukocyte mono-immunoglobulin-like receptor (LMIR)/CD300(別名MAIR/CLM/IREM)は細胞外領域に1個の免疫グロブリン様構造をもつペア型免疫受容体ファミリーであり、主にミエロイド系細胞に発現する。マウスでは8種類のLMIR(LMIR1とLMIR3は抑制型受容体、他のLMIRは活性化型受容体)が11番染色体に連座するが、それに対応するヒトLMIRは6種類であり17番染色体に存在する。 研究代表者のグループは、LMIR3ノックアウトマウスではFcεRIが関与するアレルギー反応(アナフィラキシー,気道炎症など)が増悪すること、マウスLMIR3/CD300fがリガンドとして脂質セラミドを認識すること、マスト細胞のLMIR3と細胞外脂質セラミドの結合が高親和性IgE受容体(FcεRI)の活性化を抑制することを証明している(Izawa et al, Immunity, 2012)。 ヒトLMIR3/CD300Fは、マウスLMIR3と同様に、細胞外領域に1個の免疫グロブリン様構造と細胞内領域に2個のITSMと1個のITSMを有しミエロイド系細胞において抑制型受容体として機能することは想定されているが(Alvarez-Erricoet al, J Immunol, 2007)、生理的な機能はほとんど解明されていなかった。研究代表者のグループは、マウスとヒトのLMIR3の細胞外領域の相同性が約55%と高いことに注目し、ヒトLMIR3/CD300Fのリガンドを同定し、その生体内機能を明らかにすることを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスLMIR3のリガンドとしてセラミドを同定した際の手法である結合アッセイとレポーターアッセイにより、ヒトLMIR3のリガンド候補脂質として、セラミドとスフィンゴミエリンを同定した。 LMIR3ノックアウトマウス由来のBMMCにヒトLMIR3野生型、ヒトLMIR3(Y205F-Y249F-Y284F)変異体あるいはmockを発現させたtransfectantsを作製し、リガンド候補脂質であるセラミドとスフィンゴミエリンが、IgEと抗原により刺激されたBMMC transfectantsまたはヒトマスト細胞株LAD2における脱顆粒を抑制するかを検討した。セラミドとスフィンゴミエリンは、FcεRIの活性化を抑制し、ヒトLMIR3のリガンドとして機能することを示した。 スフィンゴミエリンは特異的抗体がないが、特異的に会合するたんぱく質であるライセニンを用いて免疫染色を行ったところ、スフィンゴミエリンもセラミド同様に表皮のみならず、真皮、つまりマスト細胞周囲にも存在することを明らかにした。 ヒトLMIR3は生体内に存在するセラミドやスフィンゴミエリンを認識し、マスト細胞のFcεRIシグナルを抑制して過剰なアレルギー反応を抑えることを示した。以上の結果を"Sphingomyelin and ceramide are physiological ligands for human LMIR3/CD300f, inhibiting FcεRI-mediated mast cell activation." J Allergy Clin Immunol. 2014 Jan;133(1):270-3.に発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトLMIR3/CD300Fのリガンドとしてセラミド・スフィンゴミエリン以外の脂質が存在する可能性も考えられる。現在まで、市販の脂質を購入して実験を行ってきたが、様々な臓器などから脂質を抽出し、薄層クロマトグラフィーなどの手法を用いて分離し、結合アッセイとレポーターアッセイにより新たなリガンドの同定を試みる。 また、スフィンゴミエリンに特異的に会合する蛋白質としてライセニンを使用したが、ライセニンは細胞毒性が強くin vivoによる実験が困難である。スフィンゴミエリンを特異的に認識する抗体の作成を試みる。 次に、セラミド抗体やLMIR3抗体はブロッキング抗体として作用するため、in vivoによる使用によりPCA(passive cutaneous anaphylaxis)反応を増悪させる。in vivoにおいてPCA反応を減弱させるLMIR3抗体の開発を試みる。
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[Journal Article] Sphingomyelin and ceramide are physiological ligands for human LMIR3/CD300f, inhibiting FcεRI-mediated mast cell activation.2014
Author(s)
Izawa K, Isobe M, Matsukawa T, Ito S, Maehara A, Takahashi M, Yamanishi Y, Kaitani A, Oki T, Okumura K, Kitamura T, Kitaura J.
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Journal Title
J Allergy Clin Immunol.
Volume: 133(1)
Pages: 270-3
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Sphingomyelin and ceramide are physiological ligands for human LMIR3/CD300f, inhibiting FcεRI-mediated mast cell activation.2013
Author(s)
Izawa Kumi, Isobe Masamichi, Matsukawa Toshihiro, Maehara Akie, Yamanishi Yoshinori, Takahashi Mariko, Kaitani Ayako, Okumura Ko, Kitamura Toshio, Kitaura Jiro
Organizer
日本免疫学会総会・学術集会
Place of Presentation
幕張メッセ
Year and Date
20131211-20131213
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