2013 Fiscal Year Annual Research Report
口唇口蓋裂患者をモデルとした聴覚・視覚を介する言語処理プロセスの脳科学的解明
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25893074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
疋田 理奈 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (90706904)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 口唇口蓋裂 / 言語 / 脳科学 / fMRI / モーションキャプチャー |
Research Abstract |
本研究は、口唇口蓋裂(cleft lip and/or palate; CLP)患者をモデルとして聴覚および視覚を介した言語処理プロセスを脳科学的に解明することを目的としている。異常構音の音声情報処理過程を解明することは、その病態解明のみならず言語治療の新たな理論的基盤の構築に有用であるとともに、神経科学反応に基づく言語治療の評価指標の開発に貢献すると考える。 具体的な研究内容は、①構音障害を有する成人CLP 患者を対象とした、自己と同種の異常構音を聴取した場合の反応を、行動科学的および脳科学的解析、②口唇に瘢痕のあるCLP 患者の口唇運動の4 次元的解析(モーションキャプチャー実験)、③健常成人を対象とし、CLP 患者の提供する、口唇運動という視覚情報と異常構音という聴覚情報の相互作用が言語情報処理プロセスに与える影響の、行動科学的ならびに脳科学的解析の3つであり、平成25年度には上記の①②を実施することを計画した。 平成25年度の研究成果としては、①に関しては、CLP患者4名のfMRI実験データ採得した。現在引き続きデータ解析を行っている。また②に関しては、予備実験として顎変形症患者を対象としたモーションキャプチャー実験を行いその結果を、2014年7月10日に開催される第73回東京矯正歯科学会大会で発表予定である。 また、Beckwith-Wiedermann症候群について研究し、巨舌に起因する構音障害・顎顔面形態異常について検討し、その結果をAmerican Journal of Orthodontics & Dentofacial Orthopedics (May 2014)、90th Congress of the European Orthodontic Society ( 18-21 June 2014, Worsaw-Poland)で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本学歯学部附属病院で所有しているMR装置の新装置への交換作業のため、口唇口蓋裂患者を対象としたfMRI実験では、予定では被験者を5名と設定したが、実際には4名までしかデータ採得することが出来なかったため。 また、モーションキャプチャー実験は現在、予備実験として顎変形症患者を被験者としてパラメーターの設定などを模索中であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
fMRI実験に関しては、今まで採得済みのデータは1.5テスラのMR装置で得たものであり、1.5テスラのMR新装置で採得したデータを総合して解析することは現実的に困難である。したがって口唇口蓋裂患者4名のデータで解析を進める予定である。また、申請者が過去に行った健常成人を被験者とした実験のデータと比較検討することで、構音障害が聴覚認知に与える影響について検討していきたいと考えている。 また、モーションキャプチャー実験に関しては、現在、口唇口蓋裂患者よりも日常臨床で多く認めれる顎変形症患者を被験者とする予備実験を行っており、再現性のある方法の確立を試みている。この手法が、口唇口蓋裂患者においても安定したデータ採得が可能であるかも含め詳細に検討をする必要があると考える。
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Research Products
(3 results)