2013 Fiscal Year Annual Research Report
腸管を介した歯周炎-メタボリックシンドローム病因論 ―TRPチャネルの関与―
Project/Area Number |
25893079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
野中 由香莉 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (40710520)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 歯周病学 / TRPチャネル |
Research Abstract |
歯周炎と全身性疾患の関連については過去に多くの報告がされてきたが、未だそのメカニズムについては不明な点が多い。これまでに歯周炎とメタボリックシンドロームとの関連、さらにはメタボリックシンドロームと腸内細菌叢の変化が関係していることが示された。本研究では、口腔から消化管へととりこまれた歯周病原細菌が腸内細菌叢を変化させ、それにより腸管免疫の活性化もしくは代謝組織の異常をもたらすことで、全身の臓器に炎症状態を惹起しているというメカニズムをTRPチャネルに着目して解明することを目的とする。 本研究ではこれまでに、歯周病原細菌経口感染マウスモデルを作成し、各種臓器におけるTRPチャネルの発現について解析を行った。その結果、腸管や肝臓のTRPチャネルの発現が歯周病原細菌感染により変動することが示された。またこれに加え、感染時の腸内細菌叢の変化についても更に詳細な検討を進めている。 続いて上記の実験結果をもとに、in vitroで特定のTRPチャネルに対するアゴニスト、アンタゴニストを使用し、細菌由来の刺激に対するTRPチャネルの炎症調節作用について遺伝子、タンパクレベルでの解析を行っている。TRPノックアウトマウスを用いた感染実験についても準備中であり、今後歯周病原細菌による全身への炎症の誘導にTRPチャネルが果たす役割をvivo, vitroの両面から明らかにしていく予定である。 本研究の成果は、歯周炎のみならず関連する各種全身性疾患をも対象とする、TRPチャネルタンパクをターゲットした予防・治療の新規薬物の開発につながるポテンシャルをもつ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯周病原細菌感染時に変化するTRPチャネルの発現変動についての解析はほぼ終了している。使用動物実験施設の改築工事に伴い、一時的に実験が行えない期間が生じたため予定よりも進行が遅れている部分があるが、その期間にはvitroの実験系を行うことで本研究の目的に沿った結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き歯周病原細菌経口感染モデルを使用しTRPチャネルタンパクの機能解析を行っていく。具体的には、TRPチャネルノックアウトマウスへの感染実験を行い、腸管組織における細胞浸潤、サイトカイン産生について解析を行う。さらに肝臓においても脂質代謝機能、炎症応答について解析を行い、歯周病原細菌感染による全身の臓器の炎症応答にTRPチャネルが与える影響とそのメカニズムを明らかにする。
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Research Products
(2 results)