2014 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌における乳酸代謝機構が免疫変調状態に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
25893085
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大橋 敏充 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (80707860)
|
Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
|
Keywords | 腫瘍免疫 / がん代謝 / 頭頸部癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん微小環境において乳酸が炎症・免疫抑制と関連していることを明らかにするために、頭頸部癌患者の癌組織20検体、非癌患者の咽頭組織5検体を用いて検討を行った。摘出した組織の乳酸濃度の測定、および組織よりmRNAを抽出しreal time RT-PCRにて遺伝子発現を評価した。 がんではWarburg効果により解糖系が亢進し、その結果大量の乳酸が産生されると考えられている。まず組織乳酸濃度を比較したところ、癌組織で有意に高値であった。Warburg効果を亢進させる因子として、グルコース輸送体(GLUT1)、ピルビン酸キナーゼM2アイソフォーム(PKM2)、乳酸脱水素酵素A(LDH-A)の発現を測定した。それら遺伝子発現と乳酸濃度を比較したところ、GLUT1とLDH-Aの発現と乳酸濃度に関連性を認めた。これは、頭頸部癌細胞株でも同様の傾向を認めた。 次に、炎症にかかわる因子としてIL-17、免疫抑制の評価としてM2マクロファージマーカー(CD68、CD163、CD200R、CSF-1R)の遺伝子発現を測定した。それら遺伝子発現と乳酸濃度を比較して、乳酸が炎症・免疫抑制と関連しているかを評価した。乳酸とIL-17には関連性を認めなかった。M2マーカーに関してはCD68、CSF-1Rの発現と乳酸濃度に関連性を認めた。つまり、がんにおいて乳酸が高値となる環境では、M2マクロファージによる免疫抑制性が強くなっていることが示唆された。最後に、解糖系因子とM2マーカーの発現を比較したところ、GLUT1とLDH-Aの発現とCD163の発現に関連性を認めた。つまり、頭頸部癌において解糖系にかかわる因子とM2マクロファージとの関連性が示唆された。 がん患者において、GLUT-1とLDH-Aなど解糖系因子を治療ターゲットとすることで、がん特有の変調した免疫状態を改善する可能性があることが示唆された。
|
Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|