2013 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌腹膜転移に対するヒトモノクロナール抗体を用いたトランスレーショナルリサーチ
Project/Area Number |
25893086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
柴田 俊章 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (50529568)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 分子標的治療 / 卵巣癌 / 腹膜転移 |
Research Abstract |
我々は以前、ヒト型モノクローナル抗体であるHMOCC-1は、卵巣癌表面のN結合型糖鎖特異的に結合し、卵巣癌細胞と正常腹膜細胞の接着を阻害する作用があるを証明している。卵巣癌腹膜転移メカニズム、特に “接着”に関連するメカニズムとして、卵巣癌細胞表面に発現するMUC16と、正常腹腔中皮細胞に発現しているMSLNを介しての細胞-細胞間接着が関与していること、その接着はN結合型糖鎖依存性であると報告されている。本研究の骨子は、”HMOCC-1が卵巣癌表面のMUC16と正常腹膜表面のMSLNとの結合を阻害する”という仮説の証明にある。 平成25年度の計画目標は、①HMOCC-1抗原発現卵巣癌細胞を用いて、MSLNとMUC16結合モデルを作成する。②先述の結合モデルを用いて、HMOCC-1によるMSLNとMUC16との結合阻害を証明する、ことであった。 平成25年度までに、①HMOCC-1抗原発現卵巣癌細胞を用いたMSLNとMUC16結合モデルの作成について、1)検出可能なタグが付加されたMSLNタンパク質は、Rabbit IgGのFc断片タグが付加されたMSLN(Meso-Fc)遺伝子のcDNA発現ベクターを他施設より譲り受け、HEK293T細胞に遺伝子導入し、その培養上清中より分離・精製することにより作成することに成功した。2)HMOCC-1抗原発現卵巣癌細胞株として、OVCAR3細胞株、SKOV3細胞株、RMG-1細胞株を準備することができた。3)Meso-Fcタンパク質がHMOCC-1抗原発現卵巣癌細胞株と結合するか確認したところ、準備した細胞株の中で、OVCAR3細胞株のみに細胞免疫染色法にてその結合を確認することに成功した、という結果が得られた。 平成25年度計画の中で上記以降の結果はまだ得られていない。平成26年度の研究に繰り越して実験していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
検出可能ダグが付加されたタンパク質遺伝子を組み込まれた発現ベクターの入手に時間を要したこと、数種類の卵巣癌細胞に対してのMeso-Fcタンパク質結合実験が予想以上に不安定なもので、確実な結果を得るのに時間がかかったことが、達成度の遅れの原因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の計画のうち、繰り越した実験より開始する予定である。詳細としては、①HMOCC-1 抗原発現卵巣癌細胞を用いて、MSLN とMUC16 結合モデルを作成する計画のうち、1)検出可能なタグが付加されたMSLN タンパク質を作成する、2)HMOCC-1 抗原発現卵巣癌細胞株の準備、3)Meso-Fc がHMOCC-1抗原発現卵巣癌細胞株と結合するか確 認する、まで平成25年度まで結果を得ている。多少実験進行の遅れはあるが、骨子の仮説修正には至っておらず、本年度は、4)Meso-Fc が卵巣癌細胞株上のMUC16 に結合したか確認することより開始し、②MSLN と卵巣癌細胞株上のMUC16 を介してMeso-Fc への結合をin vitro 実験で証明する、③卵巣癌腹膜転移モデルマウスを用いたMUC16 抗体による卵巣癌腹膜転移抑制効果のinvivo 薬理実験を順次施行していく予定としている。
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