2013 Fiscal Year Annual Research Report
マウスPerfusion CTによる膵腫瘍線維化の定量的測定系の確立
Project/Area Number |
25893105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 喜久 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 医員 (10711541)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | Perfusion CT / 膵癌 / 線維化 |
Research Abstract |
膵癌は、5年生存率が5%未満と予後が悪い。膵癌の特徴として、腫瘍内の著しい線維化が挙げられる。この膵癌の線維化部位の血流は乏しく、抗がん剤の膵内へ移行を妨げる。近年、通常の造影CTに画像解析技術を組み合わせたPerfusion CTを用いることで、理論上、組織の繊維化成分を定量的に測定できる可能性が示された。しかし、膵癌に関してPerfusion CTによる線維化の測定結果と実際の病理所見との比較の試みはなく、理論の正確性は不明である。そこで、本研究では、マウス膵癌モデルを使い、Perfusion CTにより測定された膵癌の線維化量と病理学所見を比較することで、理論の正確性を確認し、線維化の測定系の確立することを目的とした。 平成25年度は、マウスPerfusion CTの Scanning Protocolを確立した。特に、臨床応用を念頭に、ヒト用Multi slice CT Scannerを用い、被ばく線量に関しては、ヒトでの一般的なCTの被ばく線量(CTDIvol 100mGy)以下とし、この条件でPerfusion CTが撮像可能であることを確認した。ついで、膵癌移植マウスを用い、膵癌の線維化のPerfusion CTによる測定結果と実際の病理像との比較を行い、Perfusion CTの線維化の定量的測定の精度が極めて高いことを確認した。 本年度の結果の意義として、小動物に関する腫瘍の線維化の非侵襲的な測定系は未だ未確立であるが、マウスでPerfusion CTによる線維化の測定ができるようになると分子学的検討や遺伝子学的検討が大変しやすくなることがあげられる。例えば、Perfusion CTを膵癌患者さんに応用し、膵癌の質的変化を正確に観察できれば、正確な分子標的薬剤の効果判定が可能となり、適切な抗がん剤投与の継続・中止の判断を可能とし予後改善に結びつくと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通り、Perfusion CTの撮像プロトコールの確立に成功し、実際に画像化したうえで、次の段階である病理との比較まで進め、さらにPerfusion CT解析系の精度の高さまで示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
撮像プロトコールの確定ができたので、次のステップとしてPerfusion CTが、分子標的剤の膵癌への治療効果予測・効果判定として有用化検討する。癌の線維化に関与するシグナルの一つに、ヘッジホックシグナル(sHH)が挙げられる。そこで、sHHシグナルを阻害することで、線維化の量を減量できる薬剤(SMOのインヒビター)を投与し、Perfusion CTを用いて、実際に線維化の減量と腫瘍内部の微小環境がどのように変化するか観察する。ついで、膵癌マウスモデルにPerfusion CTを撮像し、腫瘍内Perfusion Parameterを測定する。この測定結果を用いて、抗がん剤と分子標的薬剤を組み合わせた治療の効果予測・効果判定を行う。
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